日常の取り込みと個店経営……第二創業で目指す「無印良品」売上3兆円への青写真とは
「第二創業」で目指す売上3兆円へのロードマップ
同社が7月に発表した新中計では、最終年度となる24年8月期で売上高7000億円(日本4500億円、海外2500億円)、営業利益750億円、営業利益率11%、ROA・ROEともに15%以上という数値目標を掲げている。さらにその6年後となる30年8月期末までに、店舗数2500店舗、平均坪数550坪、EC比率30%を実現し、売上高3兆円、営業利益4500億円、営業利益率15%、ROA・ROEともに15%以上をめざす。
売上高ベースでは、21年8月期比で7倍近くになる数値目標をけん引するのは、9月に就任した堂前宣夫新社長だ。これからの9年を「第二創業」と位置づける同氏は、人口減少時代に小売に求められる多様な要素にしっかりと対応することで、壮大な数字を現実化する。
キーワードは「日常生活の基本を担う」「地域への土着化」の2つだ。「日常生活の基本を担う」は言葉通り、食品・雑貨、生活雑貨など、日常生活で必要となるあらゆるものを提供することで、地域に不可欠なスポットとなることだ。今後の国内出店戦略として、食品スーパーへの隣接型が約7割を見込むことに絡め、堂前社長はそのイメージを「生活の基本の商品だけでなく、サービスという面でもあらゆるニーズに応えられるコミュニティーセンターのようもの」と表現した。小売としての機能に併せ、健康相談やクリーニング、寺子屋的な教育提供など、お年寄りから子供までが必然として集い有機的に活用することで地域に不可欠な場とする。
それをより強固にするのが、「地域への土着化」だ。同社はすでに全国の各自治体との連携協定を着々と締結。あくまで自治体を主役に、同社が「巻き込まれる形で」地域活性化を側面サポートする体制を整備している。具体的には、熊本市では地下水都市の同市の水を店舗で提供を、山形県酒田市では同社社員による移動販売を、千葉県鴨川市では古民家のリノベーションなどを行い、小売としての役割を超えて地域に根を張り、活性化を促進することで新しい可能性を創出している。