コスモス、アオキが本腰、スーパーのオーケーも開始!「調剤」争奪戦のゆくえ
DgS対策としては有用、非食品MDの再考も重要に
調剤事業参入にはさまざまな課題や障壁はあるものの、顧客利便性の向上、競争力強化、将来に向けた成長戦略という文脈で考えれば、決して悪手ではないことは確かだ。とくに食品小売にとっては、「対DgS戦略」として有効な手段である。というのも、先に挙げたコスモス薬品やクスリのアオキHDのように、食品の領域を侵食していた食品強化型DgSに対して、SMは「生鮮」や「総菜」といった既存の商材で何とか優位に立とうとするほかなかったからだ。しかし、調剤という本来は薬局やDgSがカバーする領域に乗り込むことで、本当の意味でDgSに対峙できるフォーマットを完成させられるかもしれない。
ただし気を付けたいのが、そもそも日本では「SM+調剤」というフォーマット自体が少なく、そのため消費者も現時点ではSMに対してそういったニーズをほとんど持っていないという点である。
前出の清水氏は「食品小売の場合、調剤に進出する前に、まずは日用品や化粧品、一般用医薬品などの品揃えを深掘りすることが先決ではないか」と指摘する。つまり各店舗の顧客ニーズを分析しながら非食品部門の品揃えを再考し、それをベースとして調剤事業に乗り出すという順序である。当然、DgSと戦える価格政策をとることも重要だ。この手順を踏むことで、顧客に対して、食品だけでなく非食品もリーズナブルに購入でき処方薬まで手に入れられるという“利便性を享受することの魅力”を認知させることができ、食品小売に対する新たな需要を創造することができる。
●
ここにきて加速する、調剤をめぐるボーダレスな戦いの先に、どのような景色が広がっているのか。食品小売のフォーマットに変革をもたらすことになるのか。いずれにしても、「調剤争奪戦」は小売市場におけるパラダイムシフトになり得る事象であり、あらゆる業態にとっても、少なくとも“無関心”を貫くことは得策ではないはずだ。
次項以降は有料会員「DCSオンライン+」限定記事となります。ご登録はこちらから!
調剤争奪戦!! の新着記事
-
2021/10/14
超アナログ市場にデジタル化の波 スタートアップ企業が進める調剤DXとは -
2021/10/13
全国消費者に聞く!調剤利用実態調査 デジタル対応、ポイント、速さ?調剤薬局に求めることとは -
2021/10/13
ドラッグストアのシェアはまだ 14%弱 細分化した調剤市場で成功する方法! -
2021/10/13
ワクチン接種も!米国の食品スーパーが調剤薬局を当たり前に備えている理由 -
2021/10/12
SM企業アンケート調査、驚きの結果に!「調剤ビジネスに参入するか?どうみているか?」 -
2021/10/12
調剤事業本格参入のコスモス薬品 その理由と参入効果、副作用とは?
この特集の一覧はこちら [12記事]
![調剤争奪戦!!](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2021/10/19408ad1304b0b749c7ac4d99bcf5fae.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=f83d0790320e19712ca61a36558766a0)
関連記事ランキング
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-06-17フードウェイ上大岡mioka店の売場づくりを徹底解説!横浜3店目
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2024-07-01ヤオコーの南北政策の旗艦店、伊奈店のシニア対応MD徹底分析
- 2024-06-18ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい
- 2024-06-17ヤオコー、バローHD、サミット 24年3月期決算分析と今期の戦略
関連キーワードの記事を探す
ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは
週刊スーパーマーケットニュース Uber Eatsが人手不足と「食料品アクセス問題」を解決
上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大