焼肉のファストフード化戦略とは?一人焼肉推奨店「焼肉ライク」躍進の秘訣を有村壮央社長に聞く

「ダイヤモンド・チェーンストア」記者:若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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大反響を呼んだ第一号店

 もともと、焼肉業界はマーケットが大きい一方で一人では利用しにくい、という問題点を抱えていた。ある調査によると、「好きな外食は何か?」への回答で「焼肉」が2位を獲得する一方で、「一人では利用しづらい業態」でも焼肉は2位だったという。焼肉ライクがめざした「1000円前後の安価で、一人で入りやすく、パッと20分で食べられる気軽さ」は、結論として需要に合致したわけだが、「本当に需要があるのかどうか、やってみないとわからないところは大きかった」とも有村社長は話す。その理由は、ハレの外食のイメージが強い焼肉が、普段使いを前提とした業態とマッチするのか、というところにあった。

 しかし、そんな不安も抱えつつオープンした新橋店へのリアクションは想像以上だった。客層は当初想像していた通り、近隣に勤めるサラリーマンやOLが多くを占めたが、意外だったのは新橋というオフィス街にありながら土日も満遍なくお客が押し寄せることだった。オープン当時には話題性から人が集まった側面もあったと考えられるが、その後も老若男女問わず幅広い年齢層の利用があることがわかった。
とくに意外だったのが女性客の多さだ。一人焼肉という業態に敷居の高さを感じると思われたが、多い店舗では女性客の割合は4割に達する。最初は二人で来店し、システムを理解したら一人で来店するようになる、という女性ならではの特徴があることも判明した。

 焼肉には「高級な肉をゆっくり味わいたい」という需要がある一方で、安価・スピーディ・一人利用というファストフード的需要もあったのだ。その需要を焼肉ライクが掘り当てた格好だ。

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