ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営32 SCが差別化を狙ってはいけない理由
差別化は本当に有効なのか
差別化戦略は、他者と差別化することで正面から戦うことを避け、勝者となることを狙う。そうしたら差別化戦略はとても有効な戦略では無いか。そう考える人も多い。でも、今日のテーマは全くその逆「差別化はするな」である。
では、差別化戦略とは何か。これには「競合と違う施策を採ること」と答えるだろう。
でも、ちょっと待って欲しい。その違った施策は顧客が望んだものだろうか。顧客が望んでもいないものをやろうとはしていないだろうか。差別化は競合を見て考える。その時、どうしても顧客ニーズを見落としがちになる。競合と差別化を考えるプロセスに顧客の意思が不在となってないだろうか。
差別化戦略ほど多くの人に誤解された言葉は無い。差別化戦略は、競合と形を変える、施策を変える、取り扱い品目を変える、品揃えを変える、見せ方を変える、新規性のあるテナントを誘致する、ポジショニングを変える、そういった理解がされている。
確かに新しいことや珍しいことに顧客は反応する。しかし、それは一過性に過ぎない。

すぐ飽きられ、次の差別化を考えることとなる。差別化とは、あくまで「顧客から見た魅力の向上」であり、それを顧客が認めない限り、その差別化は思い込みであり、エゴであり、自己満足に過ぎないのである(図表2)。




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