業界の壁を超えたSDGs戦略 廃棄食材で染めるファッションアイテムに脚光!
SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが必須になりつつある昨今、関わり方がわからない、始めるきっかけがないなどの理由で、最初の一歩を踏み出せない企業も少なくない。そんな中、業界の壁を超えてフードロス問題と向き合うのが、今年創業180年を迎える繊維商社の豊島(愛知県/豊島半七代表取締役社長)だ。廃棄食材から抽出した染料を再活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE(フードテキスタイル)」に取り組んでいる。
食品残渣を特許技術で染料へ
食品廃棄量の問題は、年々深刻化している。世界では年間約13億トン、日本では年間約2800万トンが廃棄されており、中には食べられたはずの食品も多く含まれる。
豊島は、形の不揃いなど規格外の食材や、カット野菜の切れ端など、食品製造過程でうまれる商品の残渣(ざんさ)を食品関連会社や自治体から買い取り、国内外で取得した特許技術で染料化、アパレルやインテリア商品として販売している。残渣には野菜だけでなく、コーヒーの出し殻なども含まれる。提供するのは、カゴメ、グリーンメッセージ、タリーズコーヒー、猿田彦珈琲、生活の木、長野県木曽町など15社を超える企業や自治体だ。
食品残渣を買い取ることで、フードロスを減らせるだけでなく、提供先企業の収益構造に貢献し(廃棄物処理費を支払うことなく収益化が可能)、コンバースなどのアパレルブランドと連携することで繊維・アパレル産業の付加価値化に寄与する。また、エンドユーザーである商品の購入者にはSDGsに貢献するライフスタイルを提供。食品業界とアパレル業界、消費者まで巻き込むサステナブルなビジネスモデルを確立した。