アパレル業界 待ったなしのSDGs対応とリスクまみれの産業政策
矛盾だらけのサーキュラーエコノミー
次に、環境省のホームページを見れば、毎年新規投入される衣料品は、破棄されるかリサイクルされるか、輸出されるかし、綺麗さっぱり消えて無くなるかのごとく書かれているが、これは全くの事実誤認である。実態は、正確な統計は出されていないが、この日本には山のように隠された売れ残り在庫が、そして、アジアの工場には日本企業が「簿外在庫」と呼ばれる残反、あるいは、簿価ゼロの残反が、分割生産や少量生産の結果、山のように残っている。
私は、この隠された在庫をすべて吐き出させ、デッドストックに「炭素税」をかけ、二次流通市場に誘導する、あるいは、生産を著しく減少、
「サーキュラーエコノミー」とは、一般的に、作って、捨てるという消費型経済システムでなく「廃棄」されていた製品や原材料を新たな「資源」とし、再活用することで循環させる経済の仕組みのことを指す。一見、まともに見えるこの言葉にだまされがちだが、大きな視点で産業を鳥瞰してみれば本質的なところでその矛盾が見えてくる。(図表4 産業界の案)。
図を見て頂ければおわかりだと思うが、日本には50億点以上の隠された余剰在庫がある。また、消費者は、ユニクロのようなコスパがしっかりしている商品を長年使い、タンスの中は服で一杯だ。ましてや、私たち日本人は、ここまできても、
私の提言のように、バリューチェーンに商品が流れず、消費者と小売がリサイクルとリユースを繰り返し、商品調達をリデュースして最も困るのは商社だろう。
しかし、商社の本質は、人、モノ、金、情報を複合的に組み合わせビジネスを創造することにある。この原点に立ち戻り、新しい産業のインキュベーション投資と経営支援に自らの立ち位置を変えれば良いと私は考える。実際、私は10年以上も前から拙著「ブランドで競争する技術」(ダイヤモンド社)で、繊維商社はトレードから投資会社へ業態転換せよと説いてきた。
また、日本の素材メーカーは、
早くも3刷!河合拓氏の新刊
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-10-15利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-09-27ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ
- 2024-10-08コンサルの使い方に社長の役割…企業改革でよくある失敗と成功の流儀とは
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2024-05-07ユニクロ以外、日本のほとんどのアパレルが儲からなくなった理由
- 2024-10-16「亜熱帯化」でも売上を伸ばすユニクロ、伸び悩むアパレルとの違いとは