人口減少時代、スーパーの定番手法は間尺に合わなくなる!いまやるべき3つの具体的投資とは

森本 守人 (サテライトスコープ代表)、阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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SMに起こる数々の変化

人口減少のイメージ写真
人口減少により、年々町から人は減っていき、SMの売上もそれに伴い減っていくことは避けられない(写真はイメージ、Qju Creative/istock)

 今後、高齢化の進行により人口減少がいっそう加速し、市場の縮小が予想される日本。そうなった場合、SMにはどのような変化が起こるのだろうか。

 第一に客数が減少する。国内の総人口が少なくなれば、SM各店が抱える商圏内に居住する世帯数、人口も同様に減る。この動きに伴い売上高は、従来のようには上がりにくくなる。さらに高齢化で食べる量も少なくなり、人口減以上のペースで需要は小さくなっていく。

 競争のさらなる激化も避けられない。売上高を確保しにくくなれば、各社には価格を下げ、お客を集めようとする強い誘因が働く。すでに現在、競争相手が同業態の

 SMだけでなく、食品の扱いの大きいドラッグストア(DgS)やディスカウントストアと戦うケースが増えている。人口が少なくなれば競争が今以上に熾烈さを増していくことは容易に予想できる。SMを運営するために必要な従業員の確保も難しくなる。日々、取材していると、新規出店に際し、パートタイマーやアルバイトといったスタッフを募集しても集まりにくくなっているという声をよく聞く。都市部はもちろんだが、地方においては先行的に深刻な問題になっていくだろう。

 一方、お客の目線で考えると、従業員が少なくなれば、接客のレベルが下がることはあっても上がる可能性は低い。過小な人数で運営しているSMでは、商品について詳しく知りたくても質問できない事態も起こるはずだ。

 売上高の低減を受け、動きの悪い商品を削っていけば、売れ筋中心の品揃えに近くなり差別化は難しくなる。一方、売上高が確保できないと商品回転率が下がり、売場、商品の鮮度も低下することになる。

 これらのように人口減少が進めば当然、商圏のボリュームが小さくなり、今、挙げたような問題が起こってくるようになる。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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