ファッション誌凋落!メディア2.0時代のアパレルのマーケティング戦略とは
情報が無料化される時代、メディアがいかに変わるかが勝負
今、われわれは情報の洪水に溢れている。米国ではニューヨークタイムズ紙がデジタルシフトを推し進め、ニューヨーカー向けの地方紙から全国メディアへと変貌させて、見事再建を果たしたのは有名な話だ。しかし、私は「その次」が見える。
コロナ禍が収束すれば、毎日の通勤電車の中やスポーツクラブで、ワイヤレス・イアフォンを耳にしたビジネスパーソンが、スマホの専用アプリから音声でニュースを聞く時代がくる。女子もまたワイヤレス・イアフォンを耳に、美容院の待ち時間などに数分のTikTokを見る、静止画はインスタかファッションのポータルだ。
日本のアパレル業界は、こうした「非日常的な世界観」を最新デジタル技術をつかい、消費者目線で提案してゆくマーケティング戦略に大きな投資をすべきだ。衣料品の工業製品としての完成度は、一部のアパレルを除いて差がなくなっており、これからは、「プロモーションによる提案力」の勝負、いわゆるブランド化の時代が来る。
テクノロジーの変化は恐ろしいほど早いため、この3年で我々を取り巻くメディア環境は大きく変わるだろう。
音声や動画が主力になる時代にアパレルがすべきこと
このように、私たちはスマホによって、日々情報の洪水に溺れそうになっている。それを整理してくれるのがAI 。パーソナルに好きな情報を繰り返し見ていると、スマホはどんどんわれわれの嗜好を学習し、私たちが好きな情報を取捨選択し見せてくれる。メディアも、あの手この手で、有料会員を増やそうとしているが、いわゆる初期的な「チラ見せ」から本紙への誘導は、消費者にとって必要ない。
消費者側から見れば、情報など「チラ見せ」で十分で、日経新聞、読売新聞、朝日新聞などの「チラ見せ」を、「情報が無料になった」と思っている人もいるほどだ。また、NewsPicksをみれば、素人とは思えぬほどの高度な解説も読める。
したがって消費者は、質、量ともに膨大な情報を持っているが、それゆえに「情報に操られやすい」というデメリットも露呈している。私たちは、メディアリテラシーを高める教育を受けていないからだ。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-10-15利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-09-27ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ
- 2024-10-08コンサルの使い方に社長の役割…企業改革でよくある失敗と成功の流儀とは
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2024-05-07ユニクロ以外、日本のほとんどのアパレルが儲からなくなった理由
- 2024-10-16「亜熱帯化」でも売上を伸ばすユニクロ、伸び悩むアパレルとの違いとは