食品小売で一人負け 大手3社が進める「新しいコンビニ」ビジネスに迫る!
オフィス街だけでなく生活エリアでも利用減
なぜCVSの業績は落ち込んだのか。その実態をつかむべく、本特集ではレシートデータによる消費調査・分析を行う2社の協力を得て、CVSの利用動向を調べた。その結果、CVSが置かれている厳しい状況が浮き彫りになった。なかでも、東京都内の4つの立地で利用動向の変化を調査すると、通勤者の多い都心部のオフィス街だけでなく、都心部の生活者の住むエリア、さらには郊外の住宅街でもCVSの利用が減っていることがわかった(56~57ページ参照)。SMやDgSのほか、都市部では小型SMなどに利用を奪われているとみられる。
コロナ禍での大きな環境変化として、外出自粛によるまとめ買いニーズの高まりや、自宅で食事をする機会の増加などが挙げられる。対してCVSは、これまで人々が「移動」する生活を前提に、忙しい現代人に「利便性」を提供し成長してきた業態だ。そのためコロナ禍で変化した環境下ではむしろ、需要を獲得しづらい存在になってしまったと考えられる。
コロナ感染拡大前のCVSを振り返ると、店舗間競争の激化や人口減により各社が新規出店スピードを減速させ“CVS飽和論”があらためて浮上したほか、労働力不足を背景に“24時間営業問題”も発生し、今後の成長が危ぶまれている最中だった。そこへ今回のコロナショックが業績を直撃したかたちで、CVSはいよいよ待ったなしで事業の変革を迫られているといえる。
とはいえ、今後人口減が進む国内で成長し続けることは容易ではない。こうしたなか大手CVS企業では、海外に新たな成長を求める動きが目立ってきた。セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)は米国の石油精製会社マラソン・ペトロリアム(Marathon Petroleum)が運営するガソリンスタンド併設型CVS「スピードウェイ(Speedway)」を総額2兆円超で買収し、ローソンも21年2月期に初の黒字化を果たした中国での出店スピードをあげて早期に1万店体制をめざす方針を明らかにしている。
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