気が付けば「家電版ユニクロ」!好調ヤマダ電機が“経済圏”拡充とともに進める戦略とは
「生活インフラ企業」への変態加速
加えて同社は、「暮らしまるごと」をコンセプトに家電だけでなく、生活インフラを支える商品・サービスを拡充し、それに応える多様な店舗展開も進めている。新規出店は、2021年下期から加速させ、年間30店舗を出店。家電以外のシェア拡大にもこれまで以上に注力する。
買収した大塚家具や昨年子会社化したレオハウスとの連動も「暮らしまるごと」を推進するキーとなる。すでに家具と家電を売場や製品づくりで連携させ、独自性を打ち出すなど、着実に家電だけのヤマダのイメージから脱皮しつつある。
さらに金融セグメント、環境セグメント、フードや旅行などのその他のセグメントも着々と地盤固めが進められ、全てがうまく連動すれば、“ヤマダ経済圏”として顧客を取り込むことも可能になる。
22年3月期は、売上高1兆6860億円(3.8%減)、営業利益900億円(2.3%減)、経常利益970億円(1.9%減)とまだ終息が見通せないコロナの状況を鑑み、控えめな見通しだが、環境変化にも揺るがない体制は着々と構築されつつある。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしの言葉を残したのは肥前国第9代平戸藩主、松浦清。コロナで売上を伸ばした企業が、ポストコロナでも躍進するかは分からない。だが、同社が負けない施策を地道に繰り出し続けていたことは確かだ。