ネーミングひとつで売れ行きが変わる バーモントカレー、マクドナルド…“名前”の持つ不思議な力
ネーミングひとつで売れ行きが変わる?!
そういえばもう40年も前のことになるけれども、丸首長袖シャツは「トレーナー」と命名された途端急激に売れ始めた。「スニーカー」も同じだ。1977年にリリースされた原田真二さんのデビュー曲『てぃーんず ぶるーす』の歌詞に出てくるように、スポーツシューズはそれまで「ズック」だった。1979年にチューリップが『虹とスニーカーの頃』というタイトルの楽曲を発売しているので、この2年間のどこかで「スニーカー」という名前が普及し、大いに売れるようになったということだろう。
さて、2016年に製作、公開された米国映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンに成長させたレイ・クロックを描いた映画だ。なぜレイ・クロックは、創業者のマクドナルド兄弟からの繁盛店買収に強欲なまでに固執し、悪魔になっていったのか?
ひとつは、店頭で効率的にハンバーガーを製造できる「スピード・サービス・システム」を構築していたことだ。低コストで高品質の商品を大量製造できる革新的なシステムだった。
そして、もうひとつ。それは「マクドナルド」という店名そのものにある。映画の中でレイ・クロックは言った。「“マクドナルド”。なんていい響きなんだ。“レイ・クロック”という名前のハンバーガー屋は食指をそそらないが、“マクドナルド”は素晴らしい」。
英単語の細かなニュアンスについては分からないけれども、“マクドナルド”という名前と食との親和性の強さが大きいことは理解できる。やはりネーミングとは、上位に位置するプロモーション要素なのである。
最近は、小売業もPB(プライベートブランド)や総菜などにもオリジナルの名前をつけているようだが、ここは熟慮に熟慮を重ねる必要があるかもしれない。名前ひとつで、売れ行きがまったく変わる可能性はいまなおあるからだ。