ECと非アパレルで売上2000億円、苦境のオンワードが「脱オンワード」でめざすV字回復

油浅 健一
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アパレルEC化率50%、ECで1000億円めざす

註:21年2月期売上高は連結売上から非アパレルとアパレルEC売上を除した数字
アパレルECと非アパレルを大きく成長させる計画だ(註:21年2月期売上高は連結売上から非アパレルとアパレルEC売上を除した数字)

 アパレル分野におけるEC化率のアップも加速させる。苦境の中で唯一の光明といえる同社のEC売上。着実に伸長を続け、21年2月期の国内アパレルEC売上高は約416億円で、構成比は約24%。そのうち約9割が自社ECとなっており、ZOZOなどの外部プラットフォーマーに依存せずとも成長できる素地が整っている。

 2031年2031年2月期にはアパレル全体で2000億円をめざすなか、ECでは売上高1000億を目標に設定し、アパレルのEC化率50%をめざす。そのための施策として、デジタル人材育成の「オンワード人材プロジェクト」を産学連携で開講するなど、人材確保にも余念がない。

 組織変革も大胆に進める。これまでの縦割りで硬直した体制からフラットで多様な人材が活躍できる企業体への進化を目指し、組織と人材プラットフォームを抜本改革。個性が生きる組織への転換を図り、キャリアパスや評価方式も変革することで変化に強い組織へと生まれ変わる。

販売・開発手法も180度転換

 顧客との接点も180度の転換を図る。これまではマス広告で認知させ、集客。店舗でのきめ細かい接客で販売につなげるというスタイルが主流だった。企業主導の一方通行の顧客とのコミュニケーションを、SNS等も活用し顧客とダイレクトにコミュニケーションし、そこから商品開発や販売につなげるなど同じ目線に立って双方向で価値を共創するスタイルへと転換。自律的に顧客軸のコミュニティが増殖し、そこで欲しいものが生まれ、流通が拡大する仕組みを構築する。

 主軸のアパレル事業へもこうした改革を反映させる。これまでの定番ブランドはキープしつつ、新規に立ち上げた「ネオ・ビジネスモデル事業」を将来の主力事業に育てる。具体的には消費者の声を拾い上げ、商品開発するプロジェクトで、すでに消費者とリモート座談会を行うなどで動き始めている。

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