“おいしさ”を構成する要素とは何か? “わかりやすい味”を追求する外食の功罪

千田直哉
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“わかりやすい味”の功罪

 しかし食育的見地に立てば、「先味」重視、「後味」無視的なアプローチは、やはりどこか変だと言わざるをえない。たとえば、秋田県産の比内地鶏であれば、塩焼きにして鶏の持つ味わいを堪能したいもの。だが、「先味」重視は、そんな地鶏にベッタリとタレをつけて照り焼きにしてしまうようなものだ。そんな食べ方も悪くはないのかもしれないけれども、「後味」の選択肢だって欲しい。

 自由競争社会であるので、口を出すことは憚られる。だが、「先味」重視の商品開発は、和食の微妙な味わいを識別できる日本人の能力を自ら退化させてしまっているような気がしてならない、とだけは言っておきたい。

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