競合コンビニとの圧倒的な差!セブン&アイ、石橋誠一郎氏が語る「1品1品の飽くなき磨き込み」とこれからの商品戦略

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:太田 美和子
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セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)が展開するプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」。2007年にたった49アイテムからスタートしたセブンプレミアムは今や年間1兆4500億円を売り上げる、食品小売の「独自商品」を象徴するような存在となっている。まさに“最強PB”であるセブンプレミアムは、どのようにつくられているのか。セブン&アイグループの商品戦略のキーマン、常務執行役員グループ商品戦略本部長の石橋誠一郎氏に聞く。

「支持されている商品」とは目的来店性の高い商品

──セブン&アイグループは、コンビニエンスストア(CVS)、スーパーマーケット(SM)、総合スーパー(GMS)、百貨店と、複数の業態で共通するPB「セブンプレミアム」を展開しています。このようなPBはほかに例を見ません。

セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員 グループ商品戦略本部長 石橋 誠一郎氏
いしばし・せいいちろう●1966年、福岡県生まれ。85年3月、セブン-イレブン・ジャパン入社。2015年12月、取締役執行役員商品本部長。19年3月、セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員グループ商品戦略本部長、セブン-イレブン・ジャパン取締役。20年3月、セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員グループ商品戦略本部長(現任)、ヨーク取締役(現任)

石橋 確かに2007年に販売開始した「セブンプレミアム」は、CVSから百貨店まで同じ商品を同じ価格で販売するという前例のないPBです。その開発には、取引先と協力してチーム・マーチャンダイジング(チームMD)を行うセブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)の開発プロセスを適用しました。そして、売場を持っている小売企業の強みを生かしてトライアル&エラーを繰り返し、お客さまの声を聞き、検証して知見を増やしてきました。

 当初のセブンプレミアムは、「この売価ではSMでは売れない」「粗利益率が低くてCVSの加盟店に勧められない」といった課題を抱えていました。こうした課題を解決するため、原材料の仕入れ先の変更、物流の効率化といった創意工夫を積み重ねた結果が、現在の「セブンプレミアム」なのです。

──セブンプレミアムのほかに、セブン&アイグループでは各事業会社のPB商品もあります。商品開発の基本的な考え方に違いはありますか。

石橋 各事業会社で若干の違いはあるものの、「常に品質の向上をめざす」というのが全事業会社に共通する大原則です。とくに、「主力定番商品の磨き込み」は、どの時代においても基本中の基本ととらえています。主力商品、あるいは主力商品になり得る商品については、毎年リニューアルを繰り返し、商品の品質を向上することに取り組んでいます。

 同時に、時代の変化への対応も欠かせません。ここ数年、当グループは健康を軸とする商品開発に力を入れていますが、各商品に改善を加える一方で、時代の変化に対応した変更も加えています。

 セブンプレミアムの定番商品であるポテトサラダを例にとりましょう。20年、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」において、成人のナトリウム(食塩相当量)摂取目標量が1日当たり6gと従来から0.5g引き下げられました。そこで、ポテトサラダに使用する塩分を抑えながら、うま味を感じられるようリニューアルを行いました。

 リニューアルした商品は、お客さまから支持を得たかを検証するために、1単品あたりの売上の伸長目標を設定しています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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