なぜドラッグストアは一人勝ちできたのか? 『ドラッグストア拡大史』著者が語る
最終的には組織や企業文化づくりに帰結する
――米国DgSの歴史も解説しています。
日野 米国の事例をあえて初めのほうに盛り込んだのは、今の日本のDgSの状況と大きく異なるからです。とくに調剤の分野は、米国のDgS大手2社の調剤が売上高全体の7割超を占めるのに対して、日本の大手DgS企業は2割前後しかありません。しかしここにきて、日本のDgS企業の調剤比率が高まっています。つまり米国のDgSに徐々に近づいているのです。日本のDgSと調剤のマーケットはそれぞれ7兆円超とほぼ同じ規模ですから、日本のDgSにとって調剤はますます重要な部門になるでしょう。米国DgSの歴史を学ぶことは重要だと思います。
――「次の10年も必ずゲームチェンジが起こる」と力説しています。
日野 故・渥美俊一先生がおっしゃっていましたが、優勝劣敗を決めるのは最終的には組織や企業文化づくりに帰結するような気がします。97年に独立し、さまざまなDgS企業を見てきましたが、新しいことにチャレンジをしないと、どこかで衰退もしくは伸び悩んでしまうのは市場から退場した企業に共通している点です。
――どんな人に読んでほしいですか。
日野 DgS業界外の人にもわかりやすいように書いたつもりです。DgS企業の経営者や幹部、中堅社員、新入社員のほか、メーカーや卸売業の営業担当者、薬剤師などにも読んでほしいですね。
『ドラッグストア拡大史』
著者 日野眞克
発行所 イースト・プレス
定価 946円(本体860円+税10%)
発売日 2021年2月10日
判型 新書判
頁数 248