「価値と価格のアピール」をテーマに景気浮揚の追い風つかむ=しまむら 野中 正人 社長

聞き手:下田 健司
構成:小木田 泰弘 (ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長)
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主要4業態の運営を統一

──さて、15年2月期はどのような施策を実行していますか。

野中 いちばん大きいのは組織を大きく見直したことです。

 当社は、企業規模が大きくなるにつれて組織の動きが鈍くなっていました。組織の動きが遅いという典型的な例は、新しいプライベートブランド(PB)の投入が当初計画よりも半年遅れの14年3月になったことです。

 チェーンストアの組織は、企業規模に合わせて運営の仕方を変えていかなければなりません。しかし、当社はマイナーチェンジを繰り返してきただけで、根本的な組織運営の仕組みを変えてきませんでした。だから、店数や業態が増えるにつれて「例外」がどんどん増え、結果として非効率な部分が多々生じていました。また、「例外」が増えると「漏れ」も出てきます。責任の所在があやふやになり、機能している「はず」になっているケースも多くありました。

 このようなことをなくすため、14年3月に組織を大幅に変えました。

しまむら

 まず、当社の主要4業態──ファミリーファッションの「しまむら」、若者向けカジュアルファッションの「アベイル」、ベビー・子供用品の「バースデイ」、ファッション雑貨の「シャンブル」の運営をすべて統一しました。

 たとえば、商品の陳列方法や什器、店内の販促物などお客さまから見える部分は各業態特有のものですが、お客さまから見えない部分については、例外を設けず基本的にはすべて同じ方法にしました。運営方法が同じであれば、だれが担当しても管理できるからです。

 次に、広告宣伝や販売企画、店舗レイアウト、インストアプロモーションなど、これまで各業態で分かれていたものを集約し、新たに1人の担当役員が管掌。広告宣伝や販売促進などを商品部から切り離しました。

 そして要のしまむら商品部については、「売れる商品」の仕入れに専心する「商品部」と店頭の在庫を管理する「売場管理部」の2つの部に分けました。また、業態によっては在庫管理担当者がいないこともあったので、しっかり人を配置し、仕入れと店舗の在庫管理の方法も各業態ですべて同じにしました。

──組織変更はどのような効果をもたらしましたか?

野中 各業態の運営をパターン化、標準化することで、打ち手の実行されるスピードが速まり、ムダな部分や必要な施策がよく見えるようになりました。

 これまでは、売場で不具合が見つかっても、修正が完了するまでに3~4週間かかりました。今では当日、遅くても2~3日中に全店舗の売場に指示が届いて改善策が実行されるようになっています。

 ムダな部分では、たとえば「アベイル」業態は、これまで毎週水曜日と土曜日にB4サイズのチラシを投入していましたが、今は金曜日のB3サイズのチラシ1本になっています。これは水曜日のチラシの効果がほとんどなかったからです。効果のない施策を取りやめ、売上アップが期待できる部分に経費を投じるという当たり前のことを実行できる体制にしました。

 まだまだ改善点はありますが、主力の「しまむら」業態については6月からうまく回るようになってきたと思います。

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構成

小木田 泰弘 / ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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