高質と効率を同時に実現、経営改革を加速する=三越伊勢丹フードサービス 内田 貴之 社長
PB・自社製品を見直し 独自性をより高める
──プライベートブランド(PB)の「グリーンQ」の展開について計画はありますか。
内田 現在、グリーンQは350アイテムあります。このうち、150アイテムくらいは改廃します。「安全・安心」「美味しく」「リーズナブルな価格」「こだわり」の4つの観点から、グリーンQとして存続させるか、廃止するか、変更するか、見直しているところです。
いろいろな商品群にグリーンQがありますが、単に数を増やせばいいということではなくて、目的を持って買いに来ていただける商品にしたいと考えています。グリーンQの売上構成比は現在3%ですが、これを6%程度にまで引き上げていきます。
グリーンQは、価格訴求ではなく、高質志向のPBをめざしています。われわれの店舗には大手チェーンの競合店が少なくありません。競合店との差別化という点でも、そこは明確にしていかなくてはいけないと考えています。
旧二幸の製造販売高は、年間30億円規模に達します。この自社製造品は、レトルト食品や缶詰、ケーキ、焼き菓子など約250アイテムあります。これも改廃を進めるとともに、アイテムを増やしていきます。
基本を徹底し、チェーン・オペレーションを確立する。そのうえでPBや自社製造品を独自性のあるものにし、「クイーンズスタイル」を確立していきたいと考えています。PBや自社製造品は、自社で投資を負担し、在庫を抱えますから、損益分岐点をきちんと設定して、利益貢献できるようにしなければなりません。
──今年5月、三越伊勢丹ホールディングスは食品宅配のオイシックス(東京都/高島宏平社長)との業務提携を発表しました。食品宅配事業にどう取り組みますか。
内田 三越伊勢丹グループの会員制食品宅配事業「三越伊勢丹エムアイデリ」を三越伊勢丹通信販売から当社に移管します。業務提携したオイシックスから商品供給を受けるとともに、オイシックスの宅配システム・物流センターを活用し、事業拡大を図っていきます。今年11月から事業を開始する予定です。
ネットスーパーは、収益を生み出すのが難しいといわれていますが、ネット宅配はそれと違います。売りたい商品をウェブ画面の最初のページにもってくることもすぐにできます。在庫コントロールも、実店舗よりも容易でロス率も少ない。ネット宅配ビジネスの可能性は大きいと思っています。
──出店計画、売上計画について教えてください。
内田 今年5月に、新店の武蔵境店をオープンしました。14年秋に目白店の出店を予定しています。年間出店数は1、2店舗になるでしょう。城西・城南地域の駅前や駅ビルなどが中心になります。
12年度は、売上高が513億円、既存店売上高は対前年同期比97.2%でした。13年度に入って既存店売上高は、4月が前年割れでしたが、客数が好調に伸びて5月以降9月まで前年を上回っています。3年後、550億円以上の売上目標を掲げています。