台頭するフード&ドラッグ、食品スーパー買収も!コスモス、ゲンキー、クスリのアオキ

森田 俊一
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食品スーパー買収で生鮮のノウハウを獲得!

 フード&ドラッグスの強みは、何といっても「ついで買いの妙」だ。たとえばコスモス薬品では、一般食品などを買う“ついで”に、一般用医薬品や化粧品、処方薬など粗利益率の高い商品を購入してもらうことで、食品の低粗利益販売を支える収益構造となっている。

 ただ、ドラッグストアの食品販売にも課題がないわけではない。ある経営コンサルタントは、「ドラッグストアの生鮮食品の加工・販売は、習熟がまだ進んでいない。生鮮食品の取り扱いノウハウには、食品スーパーに一日の長がある」(経営コンサルタント)という。

 ただ、そうした課題を食品スーパーのM&A(合併・買収)によってクリアしようとする動きもある。

 最近では、クスリのアオキホールディングス(石川県)が20年6月、金沢市内に食品スーパー5店舗を展開するナルックスを買収。その後も、20年10月に京都府北部で8店舗を展開するフクヤを買収している。さらに21年5月21日付で、石川県輪島市のサン・フラワー・マリヤマを吸収合併することを発表しており、食品スーパーのM&Aにとって、生鮮食品の販売・加工ノウハウを高度化させる姿勢を鮮明にしている。

生鮮ノウハウは食品スーパーに一日の長、ただ……

 これとは対照的に、Genky DrugStoresは食品加工センターなどを自社で開設し、店舗に供給できる体制を整備するなど、自前主義を貫く構えを見せている。ドラッグストアの生鮮食品売場は外部の業者に運営を委託するケースが多く見られる。だが、ゲンキーのように、今後の食品スーパーとの本格的な競争に備え、自らノウハウを蓄積しようとしている企業も存在する。

 ただ、食品スーパーの主力商品は、やはり生鮮食品であり、その品揃えの「幅」と「奥行き」はドラッグストアとは圧倒的な差がある。だが、粗利益率が高いとされる総菜部門の売上高構成比はどの食品スーパーも10%前後であり、それほど高いチェーンがあるわけではない。ここに突破口を見出すドラッグストアチェーンも現れるかもしれない

 フード&ドラッグは食品スーパーの領域に攻め込んでいくのか。食品を扱う小売は、引き続きフード&ドラッグの動向に注意を払う必要がありそうだ。

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