ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営12 花形から一転…テナントリーシング受難の時代到来と賃料ビジネスの崩壊
「賃料ビジネス」の崩壊とテナントリーシングの課題
今、日本のSCテナント区画数は16万区画に上り、既に多くの空き区画が発生しています。では、コロナ収束後、この16万区画が埋まることがあるでしょうか。
そもそも人口が減少し、少子化高齢化が進み、ECが成長する今の日本でテナント数は減ることはあっても増加することなど難しいでしょう。
そして、その悪化はこれまでSC事業が依拠してきた「賃料ビジネス」を揺るがすレベルにまで進行すると予想しています。
今後もSCビジネスが「賃料ビジネス」に依存している限り、右肩下がりになることは明白なのです。
では、今後のテナントリーシング業務はどうあれば良いのでしょうか。
SCビジネスは、SCとテナントが役割分担(図表2)することでその強さを作り出してきました。SCビジネスは、SCが不動産リスクを持ち、商品/在庫リスクや販売員の雇用リスクをテナントが持つビジネスです。
不動産から商品や販売員まで全てのリスクを持つ百貨店ビジネスとは一線を画すビジネスモデルですが、この役割分担はこれまで有効に機能していました。
それは人口の増加と経済成長とECの無い時代、テナントはこのリスクを負担しても十分に元を取ることが出来たからです。ところが今コロナ禍がここに大きなダメージを与えました。
SCとテナントは、上記のリスク負担区分に従い出店契約(主に定期借家契約)を交わします。その上でテナントは店舗内装工事を施し、商品を仕入れ、販売員を雇い、賃料を支払い営業を行うのですが、コロナ禍は外出自粛や店舗休業、時短営業を要求し、テナントは大きく売上を落とし、内装・在庫投資負担や賃料などの経常支出に耐えられなくなり、賃料減免や退店、中には倒産となる企業も出てきているのです。
この環境下では図表2に示す役割分担を基礎としたリスク負担では、テナントの出店意欲は上がらず、多くの空室が出てきて、その空室も今後、埋まらないでしょう。
では、どうしたら良いのでしょう。次回(来週の12月16日公開予定)、新時代に合わせたテナントリーシングのあり方を提案したいと思います。
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西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役
東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。
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