ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営12 花形から一転…テナントリーシング受難の時代到来と賃料ビジネスの崩壊

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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 花形から一転、テナントリーシング受難の時代

 SCのテナント誘致(テナントリーシング)業務は、これまで「どれだけ人気テナントやSCに合致したテナントを誘致出来るか」、そして、「どれだけ高家賃で契約するか」、ここにテナントリーシング業務は邁進してきました。

 と、「過去形」で記述したのは、他でも無い今般の新型コロナウイルスの登場でテナントリーシング業務の環境が一変したからです。

 これまでは、「新規性のあるテナント、珍しいテナント、差別化されたテナント、新業態のテナント」など奇をてらったようなリーシングを行うことが担当者のトロフィーでしたが、今コロナ禍では状況が変わり売上が低迷するテナントの賃料減免、退店を希望するテナントの引き留めなど決して前向きとは言えない業務が増加し、テナントリーシング担当にとって受難の時代となりました。そのためテナントリーシング担当が以前のような人気商売では無くなりつつあるのも現実です。

 今、連日のようにアパレル企業や飲食業の倒産やブランド閉鎖のニュースが報じられますが、コロナ禍が収束後、これまでのように新業態を追いかけるキラキラしたテナントリーシング活動が果たして戻るでしょうか。

 一部には「ワクチンが開発されたので2021年夏には元に戻るから慌てることは無い」という意見もあります。

 でも筆者はそう簡単な話では無いと考えています。何故なら消費者の嗜好が大きく変わってしまったからです。

 そして、20212月以降も新型コロナウイルスが指定感染症のままならこの状況は続き、今後も小売業、飲食業、サービス業の倒産や整理や閉鎖は増加し、結果、SCへの出店テナントの大幅な減少は容易に予想されます。

 

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