訪日外国人観光客数99.9%減の衝撃! インバウンド特化店の今は?
外出自粛で化粧品販売額が減少
新型コロナウイルスは、国内での外出自粛による化粧品売上の大幅な減少も引き起こした。
商業動態統計によれば、DgSにおけるビューティケア(化粧品・小物)の販売額は、「感染爆発の重大局面」として東京都から週末の外出自粛要請(3月25日)が出された3月以降、対前年同月比2ケタ減が続いている。
インバウンドの消失とビューティケアの販売減。この両者の影響をもろに受けたのが、マツモトキヨシホールディングス(千葉県:以下、マツモトキヨシHD)だ。同社はインバウンド対応に特化した店舗を展開しており、化粧品の売上構成比も約4割とほかのDgS企業に比べて高い。そのため3月以降は、インバウンド売上の激減と、化粧品部門の売上ダウンのダブルパンチにより、事業会社マツモトキヨシ(千葉県)の既存店売上高対前年同月比は3月14.7%減、4月18.9%減、5月18.9%減と苦しい状況が続いている。
今後、新型コロナウイルスの影響はどうなっていくのだろうか。
観光庁長官は、6月17日の定例会見で「20年のインバウンドは対前年比6割から8割減」とのコメントを残した。
5月28日にJR九州ドラッグイレブン(福岡県)をグループに加えたツルハHDは、同社の業績を含まず、さらに「前期のような新型コロナ関連の需要増は織り込まず、インバウンド売上もゼロ」(鶴羽社長)としたうえで、21年5月期の予想売上高を「対前期比2.3%増の8600億円」とした。
一方、ココカラファインとの経営統合後に「美と健康の分野でアジアナンバーワン」をめざすマツモトキヨシHDは、21年3月期の売上高予想を「同3.5%減の5700億円」とした。
6月下旬には、新規感染者数の安定を見て、県境を越えた移動自粛が解かれ、飲食店の営業も通常に戻った。しかし、それから2週間後には、首都圏を中心に感染者が再び増加している。この変化が、今後の企業の業績にどう影響を及ぼすのか、今からその答えを探すのは難しい。