アスクル20年5月期はLOHACO構造改革で大幅増益 コロナ影響で気になる本業「BtoB」のこれから
BtoC事業は23年5月期に黒字化めざす
21年5月期の連結決算は、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、売上高4030億円(同0.7%増)、営業利益72億円(同18.4%減)の増収・営業減益を見込んでいるが、LOHACOに関しては引き続き構造改革を進め、21年5月期では17億円の損益改善を見込み、23年5月期での黒字化をめざす。
具体的には、新型コロナウイルスの感染拡大で高まった需要に対応するため、BtoB事業の物流基盤を活用するなどして出荷能力を向上させるほか、置き配などの導入で配送原価を低減させる。加えて、買い回りを促進し、まとめて梱包することで一箱あたりの売上単価向上にも取り組む。そのほか、ヤフーのシステム基盤を活用してサイトを運営することで、固定費の削減もめざす。
BtoB事業では、売れ筋商品とロングテール商品の両方を強化することで集客・購買機会の増強をめざすほか、オリジナル商品のラインアップも充実させる。また、顧客基盤の拡大でビッグデータをさらに蓄積し、1to1マーケティングを加速させる考えだ。また、22年夏にはBtoB事業の新たな物流拠点として、関東エリアの中核となる「ASKUL新東京センター」(仮称、東京都江戸川区)を稼働させる計画だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、さらなる自動化をめざした設備の導入を検討しているという。
ヤフーとの関係は改善
アスクルは昨年、LOHACO事業の譲渡をめぐって親会社のヤフーと対立。前社長の岩田彰一郎氏のほか、独立社外取締役3人が退任するという事態にまで発展した。騒動直後は後継の現吉岡社長もヤフーとの資本関係の解消を検討していたものの、前述した「PayPayモール」へのLOHACOの出店や、LOHACO運営におけるヤフーのシステム基盤の活用など、最近では共同でLOHACOの収益改善に取り組む動きが見られるようになった。20年5月期で大幅な収益改善が進んだLOHACOは、ヤフーとの関係改善により、今後の黒字化が現実味を帯びてきたのではないだろうか。