アフターコロナの小売像その7 ニトリ、コスモス……勝ち組がさらなる勝ち組に?
“コスモス旋風”が関東に
アフターコロナで勢いづいている業態といえば、ドラッグストアである。
数あるプレイヤーの中で、とくに目が話せないのが、コスモス薬品(福岡県)の動向だ。同社はM&A(合併・買収)もせず、肥沃なマーケットである関東への出店もほとんどない状態で、売上高を伸ばし続け、ツルハホールディングス(北海道)、ウエルシアホールディングス(東京都)に次ぐポジションまで登りつめた強者だ(注 コスモス薬品は20年6月期売上高6585億円を計画、20年3月期売上高6177億円のサンドラッグを上回ることは確実だ)。
売上高構成比の半分以上を占める豊富な食品の品揃えを強みに、4月の既存店売上高は対前年同月比17・5%増となっており、5月も同15.2%増と好調をキープしている。
そんなコスモス薬品だが、21年に予定されているマツモトキヨシホールディングス(千葉県)とココカラファイン(神奈川県)の経営統合が実現すれば、業界4位に転落するとみられている。その巻き返し策として注目されているのが、関東の攻略だ。
コスモス薬品は19年から、「広尾店」(渋谷区)のような“お試し店舗”の小型店を都内に出店している。20年に入ってからは、商店街立地である「祖師谷店」(世田谷区)や、住宅立地の「上野毛店」(同)となどさまざまな立地で店舗展開をスタートした。
そして、ついに同社が主戦場とする郊外立地にも本格出店を開始。茨城県内に、「堀町」(水戸市)、「ゆめみ野店」(取手市)、「龍ヶ崎店」(龍ヶ崎市)の3店舗を出店したほか、埼玉県でも「せんげん台店」(越谷市)をオープンする予定だ。
圧倒的な食品の安さを武器とするコスモス薬品の関東進出は、近隣の食品スーパーやコンビニにも影響を与えるのは間違いない。競合する企業は動向を注視せざるを得ないだろう。
アフターコロナの新日常においても、以前からの注目企業は、業績を伸ばし続ける可能性が高そうだ。勝ち組プレイヤーが新たな一手を繰り出す前に、競合他社は対応していく必要がありそうだ。