彷徨うコンビニその2 徹底主義を貫くセブンが陥った誤謬

森田 俊一
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家電量販店と家電メーカーの関係性に類似?

 ライバルのコンビニ幹部は「セブン-イレブンはかねて、何でも“徹底”する社風。それが仇になった」と話すが、出店攻勢の傍ら、圧倒的差別を追求するあまり、セブン-イレブンは事業の要でもある加盟店の顔が見えなくなっていたのではないだろうか。

 「既存店売上高が下がっていれば、それはカニバリゼーションが起きているといえるだろうが、既存店は成長し続けている」。セブン&アイ井阪社長がセブン-イレブンの社長時代に、あるインタビューで語った言葉だ。

 この既存店売上高アップが、同社の成長の拠り所となっていたきらいはある。既存店売上高を前年、あるいは前月実績をクリアすることが目的化し、加盟店の実情が見えにくくなっていたという側面があったと見られる。

 筆者の目には、現在のセブン-イレブンと加盟店の関係性は、家電メーカーと家電量販店の構図と重なる。ある家電メーカーを取材した際、開発担当の役員が「よい製品を作ればお客は付いてくるんですよ」という話をしていたのを聞いたことがある。

 その一方で、ある家電量販店の首脳は「消費者が視野に入っていない。だから日本の家電は韓国や中国に抜かれた」と発言している。つまり、セブン-イレブンも「よい商品さえつくればお客はついてくる」という誤謬に陥り、現場の最前線にいる加盟店の声が聞こえづらくなっているのではないだろうか。

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