違いは「顧客サイド」にあり オムニチャネルとOMOの本質的な違いとは何か?
オムニチャネルとOMOの違いとは
こうしてできた「オムニチャネル」と「OMO」の違いを語るのは難しい。だが、瑣末な分類学を持ち出したり、誤った概念を語る人々がいるので、両者の明確な違いを明らかにしておきたい。
それは、オムニチャネルは「企業側から見たチャネル全体の構造がECとリアル店舗の得意なところをそれぞれが補う点にある」のに対し、OMOは、提供者側以上に「顧客体験」に重きを置くということだ。
例えば、在庫を検索して欠品を防ぐ場合、①在庫の一元化、②在庫の引き当てルール、③個別配送の仕組みの構築という3ステップに加え、上記のように店舗の店長の評価指標まで全てを変えなければならない。これは、企業側の体制の問題である。しかし、同時に顧客がある程度のことを自分でできるようになると、「顧客満足度」という、新たな指標が入ってくる。
OMOには本質的に、顧客にとってフリクションフリー(邪魔をするコトを削減する)という骨太な思想がある。これをデジタル技術を使い、リアル店舗に組み込む。Online merge with Offline (OMOの意味、日本語ではオンライン機能を取り込んだリアル店舗という意味)が、完成することになる。
こうした企業のEC改革のロードマップに沿ってものごとを考えれば、日本企業も「顧客起点」を中心軸に置いたOMOに行きつくのは必然である。
告知:私はまだ日本にないOMOパッケージをグローバルで探したところ、欧州、米国を中心に拡大を続けるNEW STOREというパッケージを見つけた。このNEW STOREは、今あるECに組み込むだけで比較的単純にOMOが完成する。6月18日 午後13:00よりウェビナー講演を行い、戦略的OMOの構築について私が語り、NEW STOREのデモをお見せしたい。(問い合わせ https://takukawai.com/contact/index.htmlまで)
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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