赤字体質から脱出、ドレステリアが2年連続で過去最高益を更新した復活戦略とは
アパレル大手・ワールドが展開するブランドの中で、ひと際上質で洗練されたセレクトショップとして知られるDRESSTERIOR(ドレステリア)が、2年連続で過去最高益を更新するなど好調だ。26年の歴史をもつ同ブランドは、再起をかけて思い切ったリブランディングに踏み切った結果、新たな顧客を呼び込むことに成功し好調を維持している。見事なリブランディングの成功のポイントはどこにあったのか。ワールドのグループ執行役員で、ドレステリアを運営するエクスプローラーズトーキョー(東京都)共同代表の靏(かく)博幸氏に話を聞いた。
赤字体質から一転、2年で黒字化に成功
ドレステリアが誕生したのは1998年。メンズ&レディースのセレクトショップとして今年で26年目を迎える。ファッションへの感度が高い男女から支持されてきた一方で、靏氏によると「これまでに利益が出たのは2007年の1年のみ。ワールドの中でまったく利益を生み出さない、苦しい立ち位置のブランドだった」という。
靏氏は、長きに渡って赤字体質から抜け出せずにいたドレステリアを、2020年に着任してからわずか2年で黒字化に導き、ワールドを代表するブランドに生まれ変わらせた。
全盛期には40店舗以上あった店舗が現在では15店舗のみと3分の1近くにまで減少した中、売上規模は全盛期と同等程度に復調。店舗当たりの収益性が大きく向上している。
「2022年度は過去最高益を記録し、2023年度はさらにそれを更新、前年比124%成長で着地。また、これまでの縮小傾向から一転して、2024年2月には台北に新規出店も果たした」
靏氏は、オンワード樫山、三陽商会、さらにはユニクロ常務執行役員を務めた経歴をもつ。三陽商会では「バーバリー・ブラックレーベル」の立ち上げとブランド責任者、セレクトショップ業態「ラブレス」「ギルドプライム」のディレクターや事業部長を務めた。
そんな靏氏が、コロナ禍という厳しい環境において、長年赤字続きという厳しい状況にあったドレステリアのリブランディングに取り組んだ理由は何だったのか。「ドレステリアは、ワールドの中でメンズ、レディース両方のラインナップを揃える数少ないブランド。歴史があるからこそ、なくしてしまうのはまずいと思った」と振り返る。
課題を分析したところ、誕生から26年経って顧客の年齢層が上がっている中、コンセプトが曖昧で時代に即していないことがわかった。「再生には、変化がはっきりわかるようなリブランディングが必要だと考えた。細かいところまで、できるところはすべて改善を徹底し、スタッフにもコンセプトを浸透させていったところ、うまく結果がついてきた」