平尾健一社長が語るマックスバリュ西日本の統合後の成長戦略
小型「新フォーマット」を開発
──店舗政策を教えてください。
平尾 今後中長期に7000億円をめざすとなると、積極的に出店する必要があります。少なくとも毎年2ケタの出店を行うことになるでしょう。
中四国をいくつかのエリアに分け、エリアごとに政策に従い、店舗数を増やします。店舗がある地域のうち、兵庫県西部(西播、東播地区)、岡山市、広島市、山口県西部、香川県は、積極的に出店しドミナントエリアを強化しようと考えています。
店舗の空白地帯のうち、広島県東部、また山陰エリアについても順次、新規出店しシェアを拡大、ドミナントエリアの構築をめざします。
──マックスバリュ西日本の商勢圏は、少子高齢化の進行により人口が大きく減少している場所も少なくありません。
平尾 いわゆる買物困難エリアについては、移動販売事業やネットSMをはじめとする事業をイオンと連携しながら展開することも検討課題です。
──出店は従来型のSMを増やすイメージですか。
平尾 近年、立地が少なくなってきており、これまで主力のひとつとしてきた売場面積2000~2500㎡タイプは出店しにくくなっているのが現状です。そのため都市部については、小型の新フォーマット開発が急務です。すでに当社既存店が多くあるエリアでも出店できる、小商圏をねらったSMを開発し、店舗網を広げていきたい。
その際、新フォーマットは、プロセスセンター(PC)も活用したローコストオペレーションを実現することで収益を確保しながら、迅速な多店舗化を計画しています。
3社統合に最適な物流網を再整備
──統合にあたっては物流センターやPCなど、各社が持つインフラを有効活用することも、成長戦略を推し進めるための重要なテーマになりそうです。
平尾 マルナカグループの味彩工房は、19年12月から、香川県高松市に大型のPCを稼働させています。同施設は、今回のSM事業再編以前から計画されていたものですが、統合もにらみながら各社、各店への効率的な商品供給の拠点に役立てます。同PCでは、弁当や寿司、総菜、サンドイッチ、サラダなどを製造しており、そこから四国のマルナカ各店舗へ商品を送り、稼働率を上げていきます。
同じく19年12月に稼働を開始したマルナカグループの大洋水産では、鮮度の高いブリやハマチなどをフィレの状態に加工、マルナカ各店へ入れる予定です。今後、四国のマックスバリュやディスカウント業態のザ・ビッグに商品を送ることも見据えています。そうすればパートタイマーさんでも、簡単に切り身や刺身をつくることが可能になるでしょう。
──広島や岡山・兵庫などのエリアではいかに対応しますか。
平尾 四国から商品を送るとなると、瀬戸大橋を渡らなければならず、物流コストがかかります。そのため本州側も同様に、各社の既存施設を共有するほか、足りない場合は順次、整備します。また兵庫県の一部では、当社と山陽マルナカのトラックが走っているのが現状。重複しているエリアについては今後、最適な物流網を再整備していきます。
──新体制の全貌が徐々に明らかになっていきますね。
平尾 取り組みは始まったばかりで具体化はまだこれから。今後の計画を早期にまとめ、近く発表する方針です。地域密着型経営により、各地でお客さまに支持されるよう努力します。
マックスバリュ西日本企業概要
本部所在地 | 広島県広島市南区 |
資本金 | 17億200万円 |
代表者 | 平尾健一社長 |
営業収益 | 2749億3700万円(2019年2月期) |
店舗数 | 185店(単体、19年10月末現在) |