「MDの進化が停滞している……」ヤオコー川野澄人社長が吐露した危機感の正体
ネットスーパーの収益モデルづくりを急ぐ
これらの取り組みに加え、中長期的な社会環境の変化に対応したビジネスモデルの構築も急ぐ。川野社長は次のように説明する。「今後の10年間だけで考えれば、(現在のメーン顧客層である)団塊の世代の購買力が大きく落ち込むということはないだろう。しかしその次の10年はどうなるのか真剣に憂慮しなければならない。シニア層の需要をしっかり捉えながら、若い世代、とくに30代を中心とする潜在的な顧客層をヤオコーの『お客さま』にしていくかが大きな課題だ」
そのうえで「現在の30代がどこで買物するのかを考えると、やはりネットが競合になってくる」(川野社長)として、ネットスーパー事業の収益モデルの確立を、今後の10年間で進めていくと明らかにした。
ヤオコーは現在、埼玉県内の5店舗を拠点としてネットスーパーを運営しており、「着実に利用者数は増えており、ネットスーパーの需要の大きさを強く感じているところ。日々の物流費の変化に大きく左右されるが、店舗段階では黒字化が見えてきている」と川野社長は説明する。今後も実証実験を繰り返しながら、将来的には全店舗でネットスーパーを展開できるような収益モデルの構築を進める。
ネットスーパーをめぐっては、イオン(千葉県)が英国のネットスーパー大手オカド(Ocado)と業務提携を結んだことが記憶に新しい。しかしヤオコーとしては、「現状、外部企業との提携や大きなプラットフォームに乗るといったことは考えていない」(川野社長)とした。
詳報はダイヤモンド・チェーンストア2020年1月15日号で掲載予定