メニュー

第4回 生協の強みを生かす!北海道におけるSDGs推進の旗振り役に=コープさっぽろ

小売業のSDGs

2016年に創立50周年を迎えた生活協同組合コープさっぽろは、「次の50年の安心と革新を築く」をスローガンに、行政や関係団体と連携して地域の課題解決に取り組んでいる。北海道に暮らす人と人をつなぐ役割を担いながら、生協ならではの強みを生かして持続可能な社会の実現に貢献している。

宅配システムを活用して地域の課題解決を

コープさっぽろは行政や関係団体と連携してSDGsに対応している

 そもそも生協は1997年に「自立した市民の共同の力で 人間らしいくらしの創造と持続可能な社会の実現を」という内容の「生協の21世紀理念」を策定しており、SDGsに対応した事業・活動にいち早く取り組んできた。北海道全域を活動エリアとする生活協同組合コープさっぽろ(以下、コープさっぽろ)も例外ではなく、北海道が抱える課題の解決とより良い暮らしの実現に向けて推進している。

 その代表例として真っ先に挙げられるのが、コープ宅配システム「トドック」だ。全道179市町村の登録者37万人超の世帯に、玄関先まで訪問して商品を届けている。店舗の少ない地域でも安心して買物ができるシステムだ。トドックの地域担当者は毎週決まった曜日・時間に組合員宅を訪問することから、現在では高齢者が暮らす世帯には見守りの役割も担っている。緊急時にスムーズな連絡ができるように、各市町村と「高齢者見守り協定」を締結。その数は9割を超えている。

左:地域住民の交流の場となっているトドックステーション
右:「北海道SDGs推進プラットフォーム」によるSDGs研究会。10月に開催された初回には、108団体260名が参加

 2016年からはトドックの宅配センターや店舗の一角に「トドックステーション」と呼ばれるコミュニティスペースを設置。組合員に限らず、地域住民が互いに交流できる場を提供している。乳幼児が楽しめるおもちゃなども用意してあることから、いわゆる「ワンオペ育児」で悩む母親たちから好評だ。コープさっぽろでは単にスペースを提供するだけでなく、フリーマーケットや本の読み聞かせ、料理教室なども開催し、より利用しやすい環境づくりを進めている。現在、道内に17カ所オープンしているが、クチコミで人気となっており、今後エリアを拡大して増設していく。

賛同する事業者と連携してフードバンク事業も

トドックステーションでは親子で楽しめるイベントなども開催

 トドックに関連したSDGsの取り組みとして、「トドックフードバンク」も特筆すべき活動だろう。品質上問題がないにもかかわらず、廃棄処分される食品ロス問題に対して、コープさっぽろでは16年からフードバンク事業をスタートさせた。宅配トドックで注文ミスなどによって返品された食品で品質に問題がないものを、児童養護施設やファミリーホームに無償で提供するもので、同年11月には「トドックフードバンク基金」を設立。活動の趣旨に賛同する食品関係事業者と協定を結び、安定した事業運営をめざしている。

 さらに、食品を届けることに加え、届け先の施設で食育イベントも実施している。施設で暮らす子供たちにとって“家庭の食”はイメージしづらく、調理の経験も乏しい。そこで、卒園を控えた高校3年生を対象に、料理研究家を招いて料理をつくる機会を提供。人間らしい暮らしを送る上で大切な料理やその楽しさを伝えている。

 こうした事業・活動を通じて、コープさっぽろは持続可能な社会づくりに取り組んできたが、さらなるチャレンジとして19年7月、北海道におけるSDGsを推進するための「北海道SDGs推進プラットフォーム」を設立した。生産者団体やメーカー、金融、行政、大学など17団体がメンバーだ。背景には「SDGs」の理解がそれぞれの組織で不足しており、どういう方向で進めていくかがはっきりしていないことがある。そこでコープさっぽろが旗振り役となって、SDGs推進の底上げを図る。具体的には、定期的に研究会を開催して先進事例などを共有。今後、連携して効果が期待できる事業については実施していく考えだ。

この項、終了。次回は12月25日公開予定。