「設立100周年の老舗革新的商品で次の100年に始動!」藤木茂彦社長(株式会社 丸五)
時代の変化に着目した商品開発で市場を開拓
──安全性に着目した商品開発の一方で、お祭り用の商品も好調です。なかなかにニッチなマーケットです。
藤木 じつは、祭り用の地下足袋はもう1つの柱になっています。00年以降、地域おこしの一環として、よさこい祭りが全国的なブームになりました。そこで祭り用の地下足袋に注力することとなり、衝撃吸収材やエアークッションを内蔵して、より運動性と快適性を高めた商品を開発し、需要増につながりました。作業用の地下足袋はどうしても価格訴求が強くなりますが、祭り商品はハレの場で使っていただくもので、小売店さんにも大切に販売していただいています。
──祭り用地下足袋はどんなところで販売しているのですか。
藤木 最初は祭り用衣装を扱う祭り用品専門店に置いてもらうほか、町内会や祭りチームにも直接売り込みました。その後は、作業用品専門店にも広がりました。そもそも祭りを支えている人たちは建設系の作業者の方も多く、作業用品専門店との親和性が高いのです。もちろん、ネット販売もしています。
──お話を伺っていると丸五が時代の流れや変化に巧みに着目して商品開発してきたことがわかります。商品開発は、マーケティングチームが担当しているのですか。
藤木 とくにマーケティングの専門部門があるわけではなく、だれがどう判断して、商品開発するのかが難しいところです。もともと持っている商品の中で考えると、それほど選択肢は多くありません。社員一丸となって考えて、何人かが合意したら突っ走ることもあるので、失敗もあります。重要なのは、時々で大きな開発の方針を決めることだと考えています。たとえば、安全靴では、通気、動きやすさなどが開発のポイントになって、かなり使いやすさは改善されました。その一方で、耐久性などの点からは相反する問題も出てきます。また、デザインに凝ったものを出しても、売れ筋はモノクロ系に限られるなど、試行錯誤の連続です。
──設立100周年も通過点の1つだと思いますが、今後の抱負は?
藤木 作業用品業界において、丸五の存在感を出していきたいと思います。業界でどういうポジショニングでいるかを常に考えていきたいです。そのために、商品ブランドを統一化し、コーポレートブランドも強化していきます。また、履物としては、健康という点に注目したいと考えています。足腰などに不調を抱えている多くのワーカーの健康を守ることが全体的なテーマです。
さらに、地下足袋のよさを世界に広めることもミッションの1つです。すでに地下足袋のユニークさや機能にひかれて、利用している外国人もいます。もともと地下足袋は足裏から伝わる情報量の豊かさとバランスの取りやすさなどから、作業用履物として定着しました。その機能を世界に伝えて、日本だけでなく、世界の人々に安全な作業用履物として役立てていただきたいと思います。
──最後に、HCに向けたメッセージをお聞かせください。
藤木 あまり奇をてらったことをするつもりはありません。従来どおり、ユーザーの視点に立った商品開発で、真の商品価値を追求したいと考えています。そのためには、ユーザーとの仲介の場であるHCの売場も大事にしていきます。直接HCと取引しているわけではないので、難しいこともありますが、できるだけHCの要望に応え、コミュニケーションをとっていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。