売価を引き下げることで買い上げ点数を上げ、地域シェアを高める=カスミ石原俊明 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──では、地産地消の取り組みなどローカルでの調達について教えてください。

石原 茨城県は一大生産地ですので、野菜のボリュームが最も大きいです。店舗近隣の生産者と取り組んで、顔の見える野菜を売場で展開しています。それから、地域で有名な商品の開拓を進めています。豆腐やせんべいなど、地元商品の取り扱いを各カテゴリーで積極的に進めています。

 一方でこれからの話になりますが、われわれが農業に参入していくことも重要なことではないかと考えています。これだけ耕作放棄地が増加し、農業従事者の高齢化が進む中で、安全・安心な商品をお客さまに提供し続けるというSMの役割を果たすためです。

──参入時期はいつぐらいをメドに考えていますか?

石原 農業については、当社の小濱会長が非常に造詣が深く、いろんな考えを持っています。ですが、まだ具体的な方向性や時期についてまとめきれていない段階です。農事担当という部署を設けて検討を進めています。

 やり方として農業法人をつくるだけでなく、いろいろな選択肢があると思うので、茨城県という地域に合った取り組み方を考えていきます。

──グローバルからの商品調達の状況はいかがでしょうか?

石原 今、当社が調達している商品は、野菜の一部と果物です。鮮魚関係は、人材や知識などが不足しており、まだ取りかかれていません。できることからやっているという状況です。野菜の輸入は、品目も量も増えています。アメリカや中国など一部の生産国にとどまらず、各国の青果の動向に目が向くようになってきています。

──イオングループには生鮮品を含めた商品調達機能を一手に担うイオン商品調達(千葉県/久木邦彦社長)がありますが、その活用は進んでいますか?

石原 進めていますが、まだ多くはない状況です。イオングループの商品ということでは、トップバリュ商品の調達がメーンです。ただ、そのトップバリュの売上動向は対前期比ベースで約10%減という状況です。ナショナルブランド(NB)主体の低価格販売が進んだためで、その結果、NBの構成比が高まったのです。

──では、トップバリュにないアイテムで、地域に根差した商品を自ら開発するというお考えはありますか?

石原 ローカルブランドの商品発掘が先です。DS業態のフードオフストッカーでは、そういった商品をどんどん発掘していきましたから、その手法を活用し、発掘を急いでいます。他の競合店に並んでいない、独自のローカルブランドを多数品揃えすることが、お店の支持率向上につながるからです。

 ただ商品発掘は、待っていても誰も持ってきてはくれません。自らどんな商品をどれだけ売りたいのか、という設計図を描いたうえで、自分の足で歩いて、発掘しないことには何も始まらないのです。その意味で商品発掘は長い旅のようなもの。「母をたずねて三千里」の世界ですね(笑)。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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