既存店の業態改革が着々、上期で経常利益黒字化を達成=ダイエー 桑原道夫 社長
ただ、ライフスタイルが変化するのに伴い、ネットスーパーの需要は間違いなく増えていきます。目先が赤字だからといって歩みを止めるわけにはいきません。12年度末までに50店舗程度まで拡大していきたいと考えています。
チラシの集客効果は5%
──価格政策は業態ごとに変えるのでしょうか。
桑原 競合状況によるため一概には言えませんが、ビッグ・エーと大型店の価格政策は違います。両者で重なる商品もありますが、そもそも取扱商品が異なります。
コモディティ商品はエブリデイ・ロー・プライス(EDLP)、エブリデイ・ロー・コスト(EDLC)が基本です。ローコストオペレーションをベースにするという部分は、どの業態にも共通する考え方です。
EDLPに加えて、FSP(フリークエント・ショッパー・プログラム)のカード会員向けの特別価格や、期間限定の特売を組み合わせた販売促進(販促)を実施します。
ダイエー本体で100万人、グループ全体で150万人のお客さまが1日に来店されますが、ダイエー本体だけで見ると来店されるお客さま全体の約6割がカード会員です。ということは約4割は非会員ですから、まだ伸び代があります。売上で見ると全体の約7割をカード会員が占めますから、引き続きカード会員を増やしたいと考えています。
──チラシによる販促についてはどうお考えですか?
桑原 SMでは減らす方向です。
昨年からSM業態の「働き方改革」を始めました。グルメシティ浦和道場店(埼玉県)を実験店舗とし、チラシの集客効果を検証した結果、その影響は5%程度ということがわかりました。もちろん全店舗での結果ではありませんが、チラシ販促をやめるとお客さまの数が5%減少し、そこにEDLPを導入するとお客さまが戻るという結果が出ています。
また、同店ではSKUを実験前から3割程度減らしました。単品当たりのフェース数を拡大し、補充頻度を減らし、販促を見直したことで上期は営業黒字化することができました。「働き方改革」のチームは現在、ほかの地域にも入って水平展開を始めているところです。
「働き方改革」を進める中で重要なのは、フレキシブルに対応できるシフト組みです。また、効率的な人員配置のためにも、生鮮にもレジにも対応できるというような「多能工化」の工夫も必要です。