既存店の業態改革が着々、上期で経常利益黒字化を達成=ダイエー 桑原道夫 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 下北沢店の地下1階売場は生鮮食品を含めた“素材”売場になっています。ただ、都市型SMは不動産コストが高いため、粗利益を確保できる総菜の売上が成否のカギを握ります。そういう意味では両店舗とも、当初のねらい通りに推移しています。ただ、新店で知名度が低い今は、社内の計画数値には届いていません。これについては知名度を高めるための時間が必要だと思います。

 フーディアム下北沢店とフーディアム堂島店は新店ですが、今後は既存店からの業態転換も検討しています。当社にはダイエー単体で展開する店舗のほかに、子会社のグルメシティ各社が運営する店舗も多くあります。8月にはグルメシティ近畿(大阪府/高月春美社長)の東心斎橋店(大阪府)の屋号をフーディアムに変えました。また05年に開業したフーディアム三軒茶屋店(東京都)のようにフーディアムを冠する店舗も今後、新しいコンセプトに変えていく計画です。新店も含めて12年度初めには10店舗まで増やしたいと考えています。

ビッグ・エー
関西で50店舗態勢めざす

──もう一つの注目業態が現在、好調に推移しているディスカウントストアの「ビッグ・エー」業態です。今期に入ってからビッグ・エー関西(大阪府/白石圭二社長)を設立し、大阪市内への出店を始めています。

好調に推移するビッグ・エー業態
好調に推移するビッグ・エー業態。関西エリアでも展開を始めた(ビッグ・エー住之江駅前店)

桑原 国内の動向を見ると、基本的にはデフレを脱却できておらず、消費者の収入が増えていないというのが実態でしょう。消費の二極化という流れの中で、安さが求められる傾向は依然として強いと見ています。

 ビッグ・エーは半径500m商圏をターゲットにしており、狭商圏から高来店頻度をねらうビジネスモデルです。商圏が狭いぶん、高齢者も来店しやすく、生鮮食品などの素材も含めて安く購入できます。そうした意味で、時流に合った業態だと言えるでしょう。

 ビッグ・エーには30年の実績があり、11年10月現在の店舗数は、関東で174店舗になっています。近畿地区でも絶対に成長できると考えています。

 ビッグ・エーの1店舗当たりの年商は3億~4億円程度と低いですが、ローコストオペレーションで運営することで利益を出しています。

 ただ、採算に乗せるためには、店舗数を一定規模まで増やすことが必要です。現在は大阪市内に2店舗だけですが、今期中に4~5店舗まで増やして検証し、5年間で関西圏に50店舗、東西合わせて1000億円規模にしたいと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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