すべて逆張り!?「感動接客」のノジマが仕掛ける、家電不毛地帯への出店戦略の勝算

油浅 健一
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空間だけでなく、“失われた役割”も補完する

ノジマ三鷹東八店の店内(写真はオープン当初のものです)
ノジマ三鷹東八店の店内(写真はオープン当初のものです)

 都心の住宅街も視野に入れる出店戦略では、単に隙間を埋めるだけに止まらない。かつては住宅街にも浸透していた「街の電気屋さん」。その衰退によって失われた、困りごとにも耳を傾ける“よろず屋”的役割も担うことで、地域住民のサポーターとして根付くことも視野に入れる。

「街の電気屋さんがどんどんなくなっている。それに代わる役割も担えたらと思っている。電球を換えたり、よろず屋的に住民の困っていることにできるだけ対応できるような」と野島社長は、消費者のよりきめ細かくすくい取り、距離を縮めることで地域に根づいて密度の濃い関係性を構築するイメージを思い描く。

肝は店長に裁量を委ねる支店経営

 キーワードとなるのが「支店経営」だ。マニュアル対応で、どこでも同じように運営、営業、接客するチェーンストア経営とは一線を画し、各店舗の店長に裁量を委ねる支店経営で地域特性に合わせたサービスを提供する。同社が磨き上げてきた独自のノウハウが、“隙間エリア”への出店ではより活かされることになる。

「どこに出店したいかではなく、ニーズに合わせて出店する。店舗規模もしかりだ。そうやって地域の需要に合わせて最適なサービスを提供できるのが支店経営のうちの強み。品揃えや内装なども、支店ごとにそれぞれ違う」と野島社長。一等地や巨大モールなど、集客力をベースに出店戦略を練る他社に対し、需要に応じ、人材でニーズに対応するのが同社の出店エリアの考え方。接客力に勝る同社だからこその出店ロジックだ。

 結果的に、売場面積も1500㎡未満の中小規模店舗の割合が高くなっており、1000㎡未満は約30店舗ある。あくまでニーズ次第というものの、今後も中小規模の出店は継続していくという。

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