アリババの手中に落ちるな!日本企業は中国市場攻略に綿密な戦略が必要な理由
恐るべきタオバオのビジネスモデル 出店料は5%だが…
日本では、その高額なコミッションフィー(出店料、いわゆる場所代)が批判されているモールだが、中国のタオバオのTモールへの出店費用は、化粧品、アパレル含め売上の5%程度と驚くほど安い。したがって、中国進出する日本企業は、まずはTモール、と飛びつくわけだが、気が遠くなるほど膨大な出店アイテム数の中で存在感を出すためには、モール内部でのPR費用を積む必用がある。これも平均すると売上の10%程度必要になるとのこと。さらに、日本では批判にさらされたモールの値下げセールだったが、これは中国でも同様でモール側の値下げ要求は恒常的に発生し、結果的には売上の20%程度が必要になってくる。
また、タオバオは、広大な中国全土の物流をほぼカバーしている。中国では「ロジスティクス/ネットワーク設計」という、米国ではデジタル技術で解析しているようなハブアンドスポークを組む必要があり、独自進出は不可能だ。狭い島国では交通網が発達し、結果ロジスティクスという概念さえない(知っていても実際に意識することがない)日本人には理解できないことかもしれない。
一方で、中国政府の規制によって中国では使えないサービスを見れば、アリババの狙いは一目瞭然となる。Amazonは競合なので言わずもがな。Google (YouTube)、Meta (Instagram)も不可能で、なぜかMicrosoftやAppleはOKだ。これは、ライブコマースが「顧客データ」のEC送客の最も重要な手法であることを知っているからだ。
私は、以前の論考でこれからのアパレル・ビジネスは等しくD2Cに収斂され、
- ブランド
- ライブコマース
- ビッグデータアナリシス
- 在庫レスマーチャンダイジング
- 個別配送 x 越境物流
の5つの機能を連携したShein(シーイン)の逆モデルの覇者が、世界標準のD2Cを実現できると説いた。この②のライブコマースと⑤の物流をアリババグループ一択となっており、結果的に、タオバオに集まる数万というテナントのおかげで、③のビッグデータアナリシスを行っているのである。
YouTube、Instagramという、日本では20代女子の実に80%がファッション情報の仕入元となっているソーシャルメディア活用ができないのである。その背景には、同国が自国データの国外流出を強烈に締め付けている事実、さらに、同国では、ticktock、タオバオライブコマースなど、自社グループ内でのソーシャルメディアを用意し、アリババグループ内へ誘引する戦略でも明らかだ。中国でECを拡大することは、すなわち、アリババグループの軍門に降る以外の選択肢はないことになる。
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