ユニクロ「秋の値上げ」が、「サステナビリティ追求」に舵を切る序章である理由

椎名則夫(アナリスト)
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値上げの範囲と値上げ率は?品質は?GUは?

GU(ジーユー)
gettyimages

 しかし値上げのあり方についてはもう少し丁寧に見たいと思います。まずは、何品目が値上げになるのか、その幅はどの程度か。次に、値上げと合わせて、機能性・デザイン性を含めた総合的な品質をどうするのか。そして、GUは値上げをするのか、するとなればどのような値上げになるのか。

 筆者がユニクロの値上げの報に触れた際、まず頭に浮かんだのがGUです。GUは国内ユニクロ事業に比べて規模、収益性で劣るため、原価上昇の対策はユニクロ以上に必要であるはずだからです。

ファーストリテイリングが取り得る2つのシナリオ

 そこで、実際にファーストリテイリングの選択肢を整理してみましょう。ごく簡単まとめると、次の2択になると思います。

第1の選択肢

ユニクロは値上げを最低限にとどめ品質を下げる。GUも同様の動きをとる。この結果、”マスのユニクロ、より低価格志向のサブブランドとしてのGU”という従来のブランディングを維持する

第2の選択肢

ユニクロは相応の値上げを進めるとともに、品質を高めサステイナビリティの訴求も強める。GUはこれとは対照的に最低限の値上げにとどめる。この結果、”サステイナブル志向のユニクロ、低価格志向のGU”というブランディングの刷新(GUについては強化)を行い、従来ユニクロで担っていた低価格志向層の一部はGUが引き受け、2つのブランドを共存共栄させる

 こう書き並べて見ると、やはり第1の選択肢が無難に見えます。

 しかし、この第2の選択肢のほうが美しく、経営陣の脳裏をいまよぎらないはずはないのではないでしょうか。

 

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