第40回 2021年のショッピングセンター総括と、コロナ後、売上はどこまで戻るのか?

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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コロナ後、売上はどこの地点まで戻るのか?

 ここで「元に戻るのか」についてもう少し掘り下げて考えてみたい。この質問で言う「元」とは2019年を指すことが多い。しかし、冒頭、「ニューノーマル、2年もやればもうノーマル」と書いたように通勤、買い物、外食、飲み会、働き方、旅行、時間消費すべてがこれまでと変化し、イメージするインバウンド3000万人時代だった2019年に戻るのはかなり難しい。

 それを図示して解説する(図表6。まずそれぞれの点を次の通り定義する。

図表6 コロナ後戻る位置
図表6 コロナ後戻る位置
  • A点:戻りたい2019年時点
  • B点:2020年1月新型コロナウイルス襲来時点
  • C点:新型コロナウイルスによってダウンした場所(現在)
  • D点:今後、実際に収束する点
  • E点:新型コロナウイルスが襲来しなかった場合の地点

 これまでも日本の人口は緩やかに減少し少子高齢化も進み、SCや百貨店の市場は徐々に減少、ウイルスの襲来が無くても訪れる地点がE点であった。

 ところが20201月ウイルス襲来によってB点からC点へ一気に下落、ここが現在地点となる。

 ここまでは誰しも理解できると思うがここからが問題である。

 質問「元に戻るのか」の「元」が点Aとなれば良いが残念ながらこの点は2019年時点の場所であり、今は不要不急の販売額の下がった線(コロナ影響線)上にあるD点がコロナ後の収束点となり、戻ったとしてもそれはA点ではなくD点となるのである。

 これを所与して捉えてしまえば自ずと点Dとなる。とすると今回のコロナ禍をゲームチェンジのチャンスと捉え時代に合わせた変革を行うことで「ビジネス変革線」へ移ることが我々の課題になるのである。
出典:図表1~5は、(一社)日本SC協会定例記者会見2021年12月発表資料

 

西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

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