コロナによる景気悪化、若年労働者にしわ寄せ
[24日 ロイター] – 2020年が始まった当初、世界の労働市場は過去数十年で最も力強い状態にあり、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者たちもその恩恵を受けると思われていた。
しかし新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)によって数カ月で状況は一変した。世界中で失業率は急速に悪化し、特にコロナ対策の営業・行動制限で最も打撃が大きかったレストランや旅行などの業種で働く人が多い傾向にある若年労働者は大きな痛手を負った。
パンデミックが襲った当初、ほとんどの統計で15─24歳と定義付けられている若年労働者は2007─09年の世界的金融不況で失った労働市場のシェアを取り戻し始めたばかりだった。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、主要7カ国(G7)では若年労働者が市場に占める割合は19年末に11.2%となったが、6月末までに10%に低下した。20年上期にG7の若者640万人以上が職を失った。
米国では失業や所得喪失の影響を受けていると報告するZ世代は他の世代よりも多いという傾向が示された。
ピュー・リサーチ・センターが今春に行った調査では、23歳以下の若者の半数がパンデミックが理由で自分自身あるいは同一世帯の誰かが失業したか給与を減らされたと回答。この割合は1981─96年に生まれたミレニアル世代の40%、65─80年生まれのX世代の36%、46─64年生まれのベビーブーマー世代の25%を上回った。
米労働統計局によると、米国の失業率は4月に付けた戦後最悪の14.7%から6.7%に低下したが、10代と20代前半の若者の失業率は2桁台にとどまっている。
若者の失業は教育と仕事の短期的な見通しを悪化させるだけでなく、長期的な所得水準や職業訓練へのアクセス、キャリアの見通し、さらには精神衛生に「傷跡(きずあと)」を残すリスクがあるとエコノミストは指摘する。
実際、若者の失業率が深刻な長期的悪影響をもたらすことがデータによって示されている。英経済政策研究センターによると、18─20歳の労働者が1カ月失業しただけで、生涯所得を2%押し下げることが調査で示されている。