焦点:コロナ禍に揺れたドル/円、3月値幅は歴代4位 外債売買が過去最大

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4月9日、世界的な新型コロナウイルスの感染急拡大、主要国中銀の相次ぐ緊急会合など目まぐるしい動きが続いた3月、ドル/円の月間値幅は歴代4位を記録した。写真は都内で2018年11月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 9日 ロイター] – 世界的な新型コロナウイルスの感染急拡大、主要国中銀の相次ぐ緊急会合など目まぐるしい動きが続いた3月、ドル/円の月間値幅は歴代4位を記録した。市場急変に対応しようとする本邦投資家の間では、過去最大規模の対外投資が交錯するなど、混乱の下で必死の対応に追われた参加者の様子が、次第に明らかになってきた。

3月の日本市場では、国内勢の対外中期債投資が激しく交錯した。財務省によると、自己資金の運用とみられる銀行等(銀行勘定)が5兆5778億円と過去最大の買い越しを記録した一方、生命保険会社が8322億円と過去最大の売りに動いた。

3月は米10年債利回りが連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げなどで一時0.31%と、過去最低水準へ急低下。下旬には一転して1.12%まで大きく上昇した。

銀行勘定の買い越しは「ほぼすべて海外金利が急低下していた3月第1週に行われていた」(バークレイズ証券チーフ為替ストラテジストの門田真一郎氏)といい、為替リスクを避けながら、値幅取りを狙って買い上がった様子がうかがえる。

一方で、金利収入を重視する生保は売却を急いだ。ドル、ユーロともにヘッジコストが急上昇したことも響いたもようだ。

特に、これまでマイナス圏を推移していたユーロ/円の3カ月物ヘッジコストは、3月中に一時プラス70bp前後まで一気に上昇。これを受けて「欧州債を一部売却する動きがあった可能性がある。加えて、3月は米社債のクレジット・スプレッドも大幅にワイドニングしており、社債の売却が処分額の増加に影響した可能性も考えられる」(SMBC日興証券)という。

激しく交錯する売買を背景に、ドルの値動きも大きなものとなった。リフィニティブのデータによると、3月のドル安値は9日の101.17円、高値は24日の111.71円。月間値幅は2000年以降で第4位となる10.54円まで広がった。

これまで月間値幅が最も大きかったのは、金融危機の真っただ中だった08年10月の15.63円。次にトランプ米大統領の就任が決まって予想外のドル高が進んだ16年11月の13.38円、英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まった16年6月の11.73円と続く。この3月は、こうした歴史的な事態に匹敵する動揺ぶりだったことになる。

最近のドルと円は、市場心理の明暗に応じて同時に売りと買いが集中することが多く、ドル/円は売買が交錯ぎみ。昨年の年間値幅はわずか8.30円と、過去最低を更新していた。

その構図に変化が表れ始めたことも見逃せない。3月月初には一部投機筋が「日本売りの円安」を仕掛けていたことが、明らかになっている。その際は急激な株安が動きを封じ込めた形となったが、市場では「円相場の構造が少しずつ変化しているのは確かだ」(トレーダー)との声がくすぶり続けている。

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