岸田文雄首相が26日、訪日観光客の受け入れを来月から再開すると表明した。訪日観光は新型コロナウイルス感染拡大が本格化した2020年春以降、約2年間にわたって停止しており、恩恵が見込まれる航空や旅行、小売りなど関連業界で期待が高まる。ただ、1日当たり2万人の入国者上限は厳しいとの指摘が多く、訪日観光が経済成長のけん引役として復活するまでの道のりは長い。
ANAホールディングスの芝田浩二社長は、コロナ前は平均して1日当たり14万人程度が入国していたと説明。その上で「(入国者)上限が上がると予約は増える。需要はしっかりとある」と期待する。羽田空港の利用増を追い風にしたい京浜急行電鉄は「(利用者が)増加することはとても喜ばしい」と歓迎する。
プリンスホテル(東京)も「海外のお客さまが戻り、観光産業が活性化する」と見込む。近畿日本ツーリストなどを傘下に持つKNT―CTホールディングスは今回の動きを前向きに受け止めつつ、「入国上限枠が大きくなったり、外れたりしないとまだ厳しい」(米田昭正社長)と水際対策のさらなる緩和を求める。
日本百貨店協会の安田洋子専務理事は、円安で訪日客の購買力が増しており、「政府の考え方は期待できる」と評価。百貨店関係者は「接客や免税手続きなど忘れていることが多く、復習しようかと話し合っている」と明かす。大手家電量販店の広報担当者は「有力顧客だった中国の団体客が戻るにはまだ時間がかかる」との見方を示した。