「デジタル化と小売業の未来」#1 小売におけるデジタルインフルエンスの重要性

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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海外と日本ではトレンドに約3年の差が

 オムニチャネルが日本でも大ブームになっており、少し前からセミナーや展示場など、さまざまな場所でその重要性が叫ばれています。そもそもオムニチャネルは、日本でその重要性が語られるようになる3年前に、米国の百貨店メイシーズ(Macy’s)が火付け役となりました。

 オムニチャネルがブームとして日本に来た時には、米国ではすでにブームは下火となっており、「まだオムニチャネルを意識しているの?」と言われるようになるなど、オムニチャネルは当たり前の事として扱われています。

 同じように、Instagramも日本ではマーケティングチャネルとして重視されるようになってきていますが、これも日本で流行し始める3年前に米国で注目されていました。トレンドによって幅はありますが、大体3年前後の差が日本と米国にはあるのです。

 無人コンビニで話題となった「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」も、日本はまだ本格的に導入されていませんが、米国では3年前に始まっているため、これから来るようになると予測することができるでしょう。

日本と海外のトレンドには約3年の差が生じている
日本と海外のトレンドには約3年の差が生じている

 中国でもECにおいて日本の先を進んでおり、ECの未来を垣間見ることができます。たとえば、「SNSEコマース」の形で、「ウィーチャット(WeChat)」(日本のLINEのようなもの)の利用が広がっており、SNSに買物機能が付随していることが、中国では当たり前になっています。中国では、このSNSコマースが2017年に本格的にスタートしており、日本ではInstagramECの機能が最近実装されたところですので、こちらも23年のずれがあり、やはり中国が先を走っています。

日本でも今後競争が激化

 日本でもすべての小売ジャンルにおいてデジタルインフルエンスの影響が大きくなっており、日本の先をいく米国ではEC化率12%でありながらアマゾンエフェクトによって多くの小売店舗が閉鎖に追い込まれています。冒頭でも触れましたが、現在EC化率8%の日本においてもEC市場がまだまだ伸びることは疑いの余地はありません。

 日本は狭い国土に多くの店舗がひしめいています。人口1人当たりの店舗数は米国の6倍と言われており、今後はデジタルインフルエンスを含めた激しい競争が繰り広げられるでしょう。デジタル対応できているか否かが、勝敗の大きな要因になることが予測されます。

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも.取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも.を共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの第一人者として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。

ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

 

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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