急成長のECモール「Qoo10」、Z世代を中心に2300万人の会員を取り込んだ3つの施策
eBayの資本力を生かした「成長のための投資」が奏功
Qoo10の歴史を振り返ると、「開設当初の2010年頃は、楽天市場に代表されるテナント型ECモールと、Amazonのようなマーケットプレイス型ECモールの中間に位置する形態で運営していた」と金氏は話す。
eBay傘下となったQoo10は、それまでとは異なり顧客を重視する企業風土に変わり、グローバル企業たる安定性を持つようになった。従来よりも安定した予算が組まれ、資本力を生かした施策を行えるようになった。
たとえば技術部門に人材を増やし、プラットフォームのUI(ユーザー・インターフェイス)を改善した。メガ割を初めて実施した際、トラフィックの約95%をスマホアプリが占めたことからアプリのUIに目をつけ、品質向上につなげたのだ。
ほかにも22年4月にファッション専門モール「MOVE」を開設し、ファッションに関心度の高いユーザーを取り込んだ。それによりQoo10のトラフィック増加を後押ししたほか、消費者に「ファッションに強いQoo10」を印象づけることも成功したという。
営業部門も人員を拡充し、セラーとコミュニケーションを図るマーチャンダイザーを増やしている。eBay傘下になる以前と比べてセラーの審査は厳格化しているが、23年8月時点で1万7500社のセラーが登録するまでに拡大を果たした。
eBay Japanは今後、Qoo10を総合モールとして進化させる方針を示しつつも、主力のファッション・コスメ事業の成長を重視する姿勢は変えない。金氏は「新たな分野としてメンズのファッション・コスメを強化することで10~20代男性の新規登録会員獲得につなげ、24年度も2ケタ増収をめざす」と意気込みを語る。