ZホールディングスとLINEの経営統合ついに完了! 経営トップが語る今後の戦略と方針
質疑応答その③広告・マーケティング・ECが成長の柱に
—―(すでに海外で成功している事例がベースとなった)タイムマシン経営的な取り組みが多いように感じる。世界に先駆けたサービスはいつごろ出るのか。
川邊 インターネットの世界は同時進行している。「どこからの発信」という話ではないのかなと思っている。その上で、我々のアセットとして、ユーザーにたくさん使ってもらえるサービスを優先的に作っていこうと考えている。ユーザーに使ってもらいたいと思って提供したサービスが、気づけば”日本発”だったね、という順番。21年度中にはそういったものも出していければ良いと考えている。
—―23年度に売上収益2兆円という目標を達成するためにどの分野をどれくらい伸ばしていくのか。
川邊 目標達成のためには、3年で数千億円引き上げなければならない。そのなかで強化する分野は、まずは広告とマーケティング。お互い強みのある分野で、相乗効果が出やすいと考えている。まずはここで大きく引き上げたい。もう一つはECで、LINEの強みを生かしたECサービスも取り入れていきたい。フィンテックも、どの程度まで貢献できるかはわからないが1つの軸として考えている。
出澤 ECはすでに現在も伸びている一方、広告領域では市場が大きくデジタル化が進んでいない。その意味で十分に伸び代がある領域だと思っている。フィンテックは戦略領域として、今後花開いてくるのではないか。
—―サービスの統廃合をどう進めていくか。
川邊 「プロダクト委員会」を新たに設置した。重要なサービスに関する重要な意思決定を議論・決定する場。ここでサービスの統廃合は話していく。
—―コンテンツ統合について、「Yahoo!ニュース」と「LINE NEWS」の統合も視野に入るか。
川邊 その予定はない。既に様々なサービスの統合について議論してきた。それぞれのユーザーがどういった使い方をしているかなどを検討した結果、2つのニュースコンテンツはユーザー属性がかなり異なっている。”混ぜるな危険”ではないが、棲み分けがはっきりしており、愛用されている”名物コーナー”もある。
—―事業統合に向けたこれまでの流れで苦労したことは。
川邊 統合を持ちかけたのはZHDからで、お互いキャッシュレス分野で切磋琢磨する関係だったが、統合した方が日本のキャッシュレス化の役に立つのではという気持ちがあった。コロナで直接会えないことも多かったが、オンラインで密に議論ができたことも返ってよかったな、と今では思っている。いよいよ本当に困難や苦労があるとすればこれからではないか。
出澤 これからが生みの苦しみのフェーズになると思う。実行フェーズを迎え、やってみたら難しかったことや、新しいサービス故の苦労が出てくるのはこれからだろう。