NTTドコモとメルカリが業務提携、モバイル決済の勢力図はこう変わる?
決済サービスの連携がカギ
さて、今回の提携内容で注目したいのは、主に3点。①「メルカリID」と「dアカウント」連携による顧客基盤の拡大、②dポイント連携、③スマホ決済事業の連携である。
1つめから見ていくと、NTTドコモとメルカリの両社は、20年5月をめどに両社の会員サービスのアカウントである「dアカウント」と「メルカリID」を連携する。これにより、メルカリは、NTTドコモが強みとするシニア層がフリマアプリを利用することが期待できる。一方のNTTドコモは、「メルカリ」を利用する若年層へポイントサービス「dポイント」の利用を促していく考えだ。
2つめの「dポイント連携」では、フリマアプリの利用で、dポイントが貯まるようにする。メルカリでの取引100円(税込)ごとにdポイント1ポイントが付与され、1ポイント1円でメルカリ上の売買で利用できる。
3つめの「スマホ決済事業の連携」では、「d払い」と「メルペイ」それぞれのウォレットの残高およびポイント残高を連携する。d払いは136万カ所、メルペイは170万カ所(iD対応店含む)ある加盟店を相互開放し、どちらの加盟店でもサービスを利用できるようになる。また、今夏には両社共同で加盟店開拓営業を進める計画だという。
新しいサービスの提供につなげていく
今回の提携について、NTTドコモの吉澤和弘社長は「相互のサービスがより使いやすいものになる。アカウント、ポイント、ペイメントを連携することにより、どこからでもおトクな体験が享受できる」と話す。
今後、メルカリとNTTドコモの両社が決済サービスの手数料などについて協議していくという。
メルカリ社長CEOの山田進太郎氏は、「各社のアセットを連携し、新しい価値や体験を提供する」とコメント。今後は両社のデータを活用した、マーケティングやフィンテックサービス、販促サービスなどの提供につなげていくとしている。
モバイル決済事業において協力体制を取った両社だが、吉澤社長は「あくまでも双方のサービスを連携し、ユーザーの利便性を図るだけ。資本提携は考えていない」とコメント、資本提携の可能性は否定した。「d払い」「メルペイ」についても統合はせず、それぞれのサービスを維持する方針を示している。
「サービスの充実や利用者拡大のために、他社ともオープンにパートナーシップを組んでいく」(山田社長CEO)。メルカリは20 年1月、傘下のメルペイを通じて決済サービスのOrigami(東京都)を買収すると発表しており、今回の提携により、「メルペイ」「d払い」「Origami Pay」の三社連合が誕生することになる。
次なる大型提携はあるか――。昨年に続き、20年も「決済」から目が離せない状況が続きそうだ。