「店舗の限界」を超えろ!ビッグ・エーとベイシアの食品EC参入動機とは
ベイシア、楽天で来店頻度を補完
広域商圏フォーマットにもオンライン販売を導入したい事情があります。ベイシアは今年1月、楽天全国スーパー内でネットスーパーの営業を開始しました。7月中旬までに群馬県を中心に9店舗へ導入済みです。ベイシアにおけるリアル店舗の課題は来店頻度でした。何kmも遠方から集客できる強みの裏返しと言っていいかもしれません。
より頻繁に来店してもらうにはどうするか。対策として小型店「ベイシアマート」の展開を長らく検証してきましたが、現在は店舗数を縮小しています。オンラインショッピングの浸透もあり、ネットスーパーの利便性で利用頻度を補完する方向に舵を切りました。
楽天グループとの協業を選んだ理由について、7月初旬まで社長をされていた橋本浩英副会長は、「自前によるシステム構築の難しさを考え、また楽天会員の基盤を活用できる利点もあって提携を判断しました」と言います。
楽天全国スーパーの情報システムやサイトへの集客力を活用しつつ、店舗でのピッキングから宅配までの仕組みは独自で整えました。取り扱い商品は最大3万点。スーパーセンターならではの在庫規模です。
ドミナントエリア内で導入店舗を増やしていくほか、ネットで購入・店舗でピックアップといった方法も検討しているそうです。
ビッグ・エーのように徒歩でも行ける身近な業態だと、「車に乗って外出される際には、当社を越えてもっと大きな店に行かれてしまう」(三浦社長)となりますが、ベイシアほど広域のフォーマットになると、そこにたどり着く前に別の店の駐車場に入っていく生活者は増えることでしょう。
店が小さくても大きくても、近くても遠くても来店できない事情はありますし、悪天候などで外出すらままならない状況もざらに起こります。しかしどんな時でも店舗には在庫を抱えるわけですから、いかなる時でも商機を得たいと考えるのは道理です。むしろリアル店舗を運営しているからこそ、オンライン販売の手段が必要なのかもしれません。