改装で売上1.5倍に!バロー、デスティネーション・ストア戦略の全貌
東海地方を中心に2府10県の幅広い地域で食品スーパー(SM)を展開するバロー(岐阜県/田代正美社長)。同社は近年、既存店の活性化に注力し、生鮮食品の強化を軸に目的来店性を向上させた新フォーマット「デスティネーション・ストア(D・S)」への転換を進めている。本稿では、昨年の改装により大幅に売上が伸長している「スーパーマーケットバロー水口(みなくち)店」(滋賀県甲賀市:以下、水口店)を取材し、バローのD・S改革の全貌に迫る。
競合の相次ぐ改装を機にD・Sへと転換
2013年11月にオープンした水口店は、近江鉄道「水口城南」駅から徒歩約5分の場所に位置する。JR「京都」駅からはローカル線を乗り継いで約1時間でたどり着く場所だ。飲食店やホームセンターの「コメリパワー」などとともに近隣型ショッピングセンターを形成している。
店舗から半径3㎞圏内には3万2936人/1万2622世帯が居住しており、世代別人口構成では40代前半が最も多く、30代、60代が続く。また、店舗周辺には工場が多く、単身世帯が多いエリアでもある。
周辺には、「スーパーハズイ水口店」「西友水口店」「アル・プラザ水口」などのほか食品を取り使うドラッグストアも多く、競争は激しい。水口店は開業当初から売上不振で、18~19年に競合3店舗が相次いでリニューアルし、さらに危機的状況となった。同店のある滋賀県のほか、京都府、大阪府の16店舗を管轄するSM事業部第13地区長の田中史朗氏は「地区の中で売上最下位の店舗だった」と話す。
このような状況を脱し、業績回復を図るため、水口店は20年9月に改装を実施。売場面積ベースでグロサリー・日配を約2割削減し、そのぶん生鮮3品のスペースを拡大させている。現在の売上は改装前と比較して約150%で、地区の中でも上位の売上になっているという。
オープン時以外はチラシは配布しない
D・Sとは、