6月ロイター企業調査:5割超がコロナで賃金・雇用カット、業績不透明感強く
[東京 18日 ロイター] – 6月ロイター企業調査では、新型コロナウイルス感染症の影響により調査企業の半数超で賃金・雇用の削減などを実施したことが明らかになった。今後について、7割程度が年内に業績が底打ち、その後緩やかに回復していくとみている。
ただ現時点で今年度業績見通しが立たない企業が4割を占めるなど、不透明感は依然強い。この間、オンライン会議、非接触型営業活動などデジタル化を図った企業は9割を超え、ウィズコロナ時代への対応も進んでいる。
調査は6月2日から12日までの期間に実施、資本金10億円以上を対象に499社に調査票を発送、回答社数は230社程度だった。
採用抑制や給与カットなど、5割超で実施
調査によると、コロナによる雇用や給与への影響が「あった」との回答は55%を占めた。
そのうち、新規採用を抑制したのは41%、中には新規採用を全面凍結した企業も9%あり、合わせて5割の企業で新規採用に影響が出たことがうかがえる。また給与カットをした企業や人員削減をした企業も2割以上を占めた。
賃金に関しては「休業に伴う給与の減少」(輸送用機器)といった定例給与への影響のほか、「後半期のボーナスに影響がある」(紙・パルプ)など賞与カットをあげる企業が多かった。
雇用面では「非接触対応により、求人対応が円滑にできない様になった」(窯業)など、計画通りの採用ができなかった企業もある。
雇用関連統計では、需要の蒸発に伴い一時的な解雇や休業扱いはかなり目立っていたものの、もともと人手不足が深刻化していた業種では「人材募集への応募が増加している」(情報サービス)といった声や、「非正規社員の採用増加」(卸売)、「人員不足解消」(小売)という傾向もあるようだ。
年内に業績底打ち、緩やかな回復に
緊急事態宣言が全国で解除され、事業活動も再開している中でも、企業は先行きの業績回復はなかなか見通せないようだ。
年内の業績底入れやその後の「緩やかな回復」を見込む企業は、いずれも全体の7割程度を占めているが、今年度の業績見込みは厳しく、赤字見込みは全体の4分の1を占めた。現時点で見通せないとの回答も4割近くを占めた。
企業からは「経済活動の再開が本格的になり、軌道に乗るまで時間がかかるとみている」(化学)として、事業の回復ペースは極めて遅いとの見方が多い。
業績についても楽観の声は少ない。製造業では「ようやく経済活動がスタートしたばかりで、かつ第2波以降の懸念もあって予断を許さない状態で、全く先が見通せない」(精密機器)との声が目立つ。非製造業でも「現状、売り上げは順調だが、先買い(買いだめ)の傾向もみられ、むしろ徐々に通常モードに移行することにより売り上げが減少傾向になる」(小売)と慎重だ。