セブン& アイ 伊藤順朗常務に聞く「なぜ、今SDGsなのか?」「どう取り組むべきか?」
コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店など多彩な業態を傘下に持つ巨大流通グループ、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)。近年急速に関心が高まるSDGsに対し、同社はどのようなスタンスで臨んでいるのだろうか。同社CSR統括部(現・サステナビリティ推進部)を5年以上にわたって指揮し、現在はグループの経営の中枢を担う、取締役常務執行役員の伊藤順朗氏に聞いた。
なぜ、セブン&アイは社会課題解決に臨むのか
──なぜ、SDGsがここまで注目されるようになっているのでしょうか。
伊藤 国連サミットにおいてSDGsが採択されたのが2015年9月。それ以前からMDGs(ミレニアム開発目標)やCSRといったものは存在しており、企業を含むビジネスセクターが社会課題の解決に取り組むことの重要性はかねてより指摘されていました。ただ、ここにきて社会課題解決への注目はいちだんと高まっていると感じています。
従来、社会課題の解決は、政府のような公的機関が取り組むものといわれてきました。しかしながら、『「社会の期待」-「政府の力」=「企業のCSR」』ともいわれるように、社会の期待、つまり課題が膨れ上がっているなかでは、ビジネスセクターの責任や企業への期待が高まっていると考えます。
──そうしたなかで、セブン&アイはどのようなアプローチで社会課題解決に取り組んできたのでしょうか。
伊藤 当社では、お客さま、お取引先、株主、地域社会、そして社員を含めたあらゆるステークホルダーから「信頼される誠実な企業でありたい」という社是を1972年に制定しています(当時はイトーヨーカ堂)。これを念頭におきながら、数多ある社会課題に対して当社として何ができるのか、そして何に取り組むのが社会にとっていちばん有効なのか、ということを考え続けてきました。
フードロス、貧困、環境問題等々世の中には数多の社会課題があります。ただ、一私企業が、そのすべてに取り組むことはできません。ですので、自分たちの事業特性を生かせるかたちで取り組むべきことを決める。CSRの世界でいうところの、「マテリアリティ(重点課題)の特定」から始めていきました。