セブン& アイ 伊藤順朗常務に聞く「なぜ、今SDGsなのか?」「どう取り組むべきか?」

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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SDGsにも対応する「5つの重点課題」

──マテリアリティを特定したプロセスについて教えてください。

伊藤 まず、行政が発表している調査や白書、研究機関による将来予想などを紐解きながら、数多存在する社会課題を列挙して92個の課題を抽出しました。そこから「セブン&アイとして何に取り組むべきか」という観点で、お客さま、株主、投資家、お取引先、従業員にアンケートというかたちでこれらの課題を投げかけ、30個まで絞り込みました。

 そして、これを叩き台にして、どの課題に取り組むのが最もインパクトがあるのかと、私を含めた当時の経営陣と有識者の方々で対話・議論を重ね、5つの重点課題を特定しました。SDGsが採択される約1年前、14年のことです。

──特定から約6年が経過していますが、課題の見直しなどは検討していますか。

伊藤 見直しの議論はもちろんありましたが、重点課題の解決はどれもまだやり遂げていません。あらためて5つの重点課題を見てみると、SDGsにおける17の目標のほとんどをカバーしています。ですので、小手先で変えるということはせず、5つの重点課題の解決を継続していくこととし、各課題にSDGs の目標を対応させるようにしています(図表参照)。

 国連のサイトなどにあるSDGsの原文を見ると、慣れない人は読んでいるだけで頭が痛くなってくるほどに項目は膨大にあります。企業としても、自分たちがこの中のどれができるのかがわからないかもしれません。

 ですが、われわれ小売業は生活・消費者に密着した産業ですので、こうした活動をやりやすいという側面もあります。また、「なぜ、SDGsに取り組むのか」という観点においても、とくに小売業は事業機会につなげやすいという面もあります。

図表 セブン&アイが定める5つの重点課題

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