日本展開に意欲!英テスコがネットスーパーの“外販”開始、高い実力とは?

文:高島 勝秀(三井物産戦略研究所 産業情報部産業調査室 シニアエコノミスト)
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英小売大手のテスコ(Tesco)は2024年9月、子会社トランセンド・リテール・ソリューションズ(Transcend RetailSolutions:以下、TRS)を設立した。過去40年にわたり英国内でネットスーパーの成功モデルを磨き上げてきたテスコ。今回設立したTRSは、テスコが持つネットスーパーのソフトウエアとハードウエアに加え、それらの検討段階から導入後のサポートを行うコンサルティングを提供する。“テスコ流”ネットスーパーはどこまでシェアを広げていけるのか。

効果はCFC以上?MFCの強みとは

 テスコが子会社TRSを通じてネットスーパーのソリューションの外販に乗り出す。TRSの顧客第1号となったのは、ニュージーランド小売大手のフードスタッフス・ノース・アイランド(Foodstuffs North Island:FNI)である。

 FNIは同国食品スーパー(SM)最大手のフォースクエア(Four Square)なども加盟するボランタリー・チェーンで、約330店舗を展開する。現在、FNIではネットスーパーの導入を進めており、2店舗で受注システム、店舗ピッキングの効率的なルート誘導システムのほか、ハンディスキャナーなどのハードウエアを試験的に実装している。その結果を踏まえ、将来的には150店舗に展開予定だという。

 TRSが提供するのは、店舗ピッキングやラストワンマイル配送のシステム、MFC(Micro Fulfillment Center:ネットスーパー専用の小型物流倉庫)などのネットスーパーの仕組み全体である。TRSが提供するシステムの強みは、顧客数や店舗の大小にかかわらず導入可能であるという点だ。

 現在、テスコはMFCを9拠点、CFC(CustomerFulfillment Center:大型自動倉庫)6拠点をそれぞれ英国内で展開しており、CFCの知見も豊富に有している。大規模な自動倉庫が必要であれば、MFCを拡張することで、英ネットスーパー専業のオカド(Ocado)が展開するCFCと同等以上の効率化が可能だという。

テスコのロゴ
テスコは、子会社TRSを通じてネットスーパーのソリューションの外販に乗り出す

 ちなみに、テスコは今後

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